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18:40発のバス
雨が降り出しそうな、暗く低く垂れ込めた雲。
講義が終わり、バス停まで急いで歩く。
18:40発のバス。
オレの家に「ふたりで」帰る時は、いつもこのバスだった。
山を越えた先の海辺の街にある狭いアパートは、火曜日と木曜日だけ、ふたりの隠れ家だった。
バス停に着くと、見計らったようにバスが滑り込んでくる。
オレは、いつものように1番後ろの窓際の席に座った。
そこが、ふたりの定位置。
今は「オレだけ」の定位置。
他の乗客はいなかったようで、時間になるとバスはゆっくり走り出す。
ぽつぽつと窓の外で雨が降り出した。
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