ヘルズ・スクエアの子供達~パートⅡ~マッシュのお話

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 学校を続ける為には、金も必要だ。だから勉強の合間には仕事もしなくちゃ。  結果、犠牲になるのは睡眠時間で、毎日三、四時間かな。  でも、大丈夫。平気さ。百年も達っていつか死んだら、雲のフワフワベットで好きなだけ眠れるもんな。生きてる内は、一秒だって無駄にはできない。  今の俺には、学校でも職場でも、友達が沢山いる。みんな俺を好いててくれて、俺もみんなが好き。いい感じだ。  だけど・・・やっぱり生まれ故郷のホープ島、ヘルズ・スクエアが恋しくなる事もある。よく思い出すよ。  あのトンデモ島の事は、俺の親友エッグが以前に詳しく書いてるから、ここでは繰り返さないぜ。エッグが書かなかった事を書こうと思う。  エッグは、自分が成し遂げた事を、ぜんぜん書いてない。ホープ島の為に、そこに暮らす人々の為に、俺の為に、どんなスゴイ事をしたのか、まるですっ飛ばしちまってる。  控え目だからじゃない。自分のやった事の、その結果をよく知らないからなんだ。あいつも俺と同様、十五歳で一人、島を出て行ったから。  だから、俺はこれを書いている。どこかでいつか、エッグがこれを読んだら、きっと喜んでくれるだろう。  ああ、俺の大切なエッグ。最高の友。今は別れ別れで、それぞれ頑張っているけど、きっとまたいつか会えるさ。遠い将来のどこかで。  その時はしっかり抱きしめ合って、泣いたり笑ったり、そんな事をしたいな。  待っていてくれ、エッグ。俺を信じて。 2・  エッグの偉業を説明するには、俺の幼な馴染み、サイクロンの事を話さなきゃならない。  なぜかって、エッグとサイクロンの・・・何ていうか、一種独特の奇妙な関係が、ホープ島再生の道筋を開いたからなんだ。  この二人が、ホープ島、特に俺達が暮らしていたヘルズ・スクエアの人々を救った。  だから、エッグやサイクロンが、望もうと望むまいと(多分、望むまいの方だけど)、二人を分けて話す事は、俺には出来ないんだ。     俺とサイクロンは、同じ時間、同じ場所で産まれて、いつも一緒に育った。おふくろ達も親友だったし。その点、エッグとは全く違う。  エッグは、時々むかっ腹が立つくらい何でも一人でやれちゃうヤツで、自分で出来る事は自分でこなし、いつも俺とベッタリだった訳じゃない。
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