ヘルズ・スクエアの子供達~パートⅡ~マッシュのお話

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 大人達に迷惑は掛けられないしな。オヤジ達は一日中、碌に成果の上がらない釣り。お袋さん達は、水作りと料理で忙しいんだ。調理するにしても燃料集めからだし、それがまた容易な事じゃない。  ヘルズ・スクエアには電気もガスも、もっと言うなら資源って物が何もない。木さえ無い。ヘル・マーケットで、燃やせそうな物をかき集めても、一日一食つくるのがやっとで、それさえ、しょっちゅう生煮え。大変なんだよ。  エッグが仕事から抜けるのはシンドイ。他の子達だって、みんな働き者のいい子だけど、エッグや俺の指示がないと、うまく動けないからな。  一日があっという間に過ぎていく。エッグがいなくて俺一人、大わらわだ。  サンダー・キッドには、シュガー・ベビーの子守をさせ、マネーマネーとドール、エンジェルとサンシャインには、悲しみ団地の掃除を割り振った。グリーンタンとピーウィー、トリッカーとリリーの方は暗やみ団地の掃除で、ワイルド・キャットとワイルド・ビーは裁縫がうまいから繕い物。チェリーには、その手伝いと見張り役をあてがった。二人のワイルドちゃんは、目を離すとすぐケンカをおっ始めるんだ。  ブーブーとキャンディは、ヘル・マーケットで見つけた古着の仕分け。キューティとパンプキンは、オヤツ集めと、その分配係。それから・・・と、全員分を話してたらキリないよな。  その上、子供達は俺も含めて全員、毎日四時間、ルインズ(廃墟)でプロフェッサー(教授)の授業を受けなきゃならない。レインとスパンキーも、先生がわりで、算数のテストをすると張り切ってやがる。  チビども全員に気を配り、勉強を見てやり、ヘル・マーケットの仕事もしまくって、俺はそれから数日、ヘロヘロ状態だった。  でも・・・エッグもヘロヘロのはずだけど、頑張ってる。会えなくても、俺にはわかる。だから、俺も頑張るのさ。  それから、サイクロン。あいつの方は、あれから三日どころか七日間も、まるで姿を見せなかった。  食事はキューティかドールに運んでもらったけど、二人ともウジ虫の成長にはとんと興味がない。  だから、その後の様子はよくわかんないけど、どうやらサイクロンのウジ虫は、ハエとして自立するのが遅いらしいな。
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