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――魔王城。
ドクロが無造作に転がる玉座の間にて、剣が激しくぶつかり合うたび金属音が反響し続ける。
剣を交えるのは、この城の主、魔王。そしてその魔王を討伐しに単身乗り込んだ、勇者。
両者の実力は拮抗していた。互いに決定的なダメージを与えられず、いたずらに体力だけを消耗していく。
やがて魔王は、剣を地面に突き刺し口を開いた。
「勇者よ。これ以上戦っても拉致があかない。ここは一時停戦し、平和的な話し合いをしようではないか」
「……いいだろう」
魔王の提案に勇者も剣を鞘に収めた。
魔王は玉座に腰を下ろすと足を組み、頬杖をついて切り出した。
「勇者よ。もしワシと和平を結ぶのならば、世界の半分をお前にやろう」
「世界の半分を、俺に?」
「そうだ。自分の思うがままにできる世界が手に入るのだ。悪くない話であろう?」
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