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『ふざけるな! 残り半分の世界がお前に支配されたままでは意味が無い! 俺の望みは、全ての世界が平和になることだ!』
などと勇者の返答を予想する魔王。ここから言葉巧みに交渉し、勇者の心を揺さぶるつもりであった。
が、その必要はなかった。
「いいだろう。和平を結ぼう」
勇者はあっさりと首を縦に振った。
一瞬、呆気に取られ固まる魔王。だが動揺しているのを悟られまいと凛とした態度は崩さず話を進める。
「よし、今より我々はこの世界の支配者だ。お互い理想の世界を創るべく尽力しようぞ」
交渉を成立させ、勇者と和平を結んだ魔王だったが、内心はどす黒い思惑がうごめいていた。
(まさかすんなり受け入れるとはな。バカめ。貴様と和平など結ぶつもりなど毛頭無い。今日はちょっと足の裏にできた魚の目が気になって仕留めきれなかったが、体勢を立て直したあと今一度貴様を葬りさってくれるわ……!)
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