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「ときに魔王よ」
勇者に話し掛けられ、反射的に背筋を伸ばす魔王。
「半分というのは、土地も人間も平等に分けるということだな」
「まあ、そうなるな」
「それならモンスターも半分っこするってことだな」
「……なに?」
「モンスターもこの世界の一部だろう。ならば俺とお前で平等に分配するべきだ」
モンスターは魔王の配下。その配下を敵である勇者に半分やらねばならない。当然魔王は渋い表情を浮かべた。
しかし、瞬時に思い直した。
「そうだな。貴様の言う通りだ。モンスター軍団もお前に半分くれてやろう」
そう言うと魔王は牙の覗く口を僅かに湾曲させた。
(くれてやったところで所詮モンスターはみなワシの僕。裏切らせることなど動作もないこと)
と、内心ほくそ笑んでいると、再び勇者は口を開いた。
「ただ、モンスターと一口に言っても種族は多種多様。強い者もいれば弱い者もいる。適当に半分に分けるのもフェアじゃない」
「まあ、一理あるな」
「だからここは、それぞれ希望のモンスターを指名していくのはどうだ?」
「指名……だと?」
「そうだ。互いに欲しいモンスターを提示し獲得していく。もし被ればクジ引きでどちらが獲得するかを決める。“モンスタードラフト”、と言ったところだ」
「……フム、まあよかろう。だが、全てのモンスターを指名していくのも時間がかかる。ひとまず指名は互いに10種までとしようではないか」
「いいだろう」
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