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 なんでこんな、名前を憶えたり、下の名前で呼んだり呼ぶ事を求めたり。友だちみたいなことやってんだ。友だちなんていらないって思ってたくせに。 「てか、さっき、俺が目立つとか、他の奴と違うとか言ってたけど、どういう意味」 「え、あ、そのままの意味だけど。瑛くん、とってもかっこいいし、女の子たちも皆キャーキャー言ってるよ」 「はあ?」 「かっこいいっていうか、美形? っていうのかな。綺麗な顔してるよね」 「男に綺麗とか言われても嬉しかねぇよ!」  なに言ってんだ。確かに、顔が整ってるとか、どうのとか言われたことはあるけど。綺麗だなんて喜ぶ馬鹿がどこにいるんだよ。 「はは、そうだよね、ごめん。他の人と違うっていうのは、なんか、お金持ちを見せびらかさないっていうか。でも、口調とか荒い感じなのに、動作とかよく見るとすごく品があるっていうか。嫌味がない感じ」 「んだ、それ。口調が荒いってんならさっきの財前だって」 「財前くんは、下品だよね」  こいつ、あれだけやられまくってたくせに口悪いな。それくらい腹を立ててるってことなんだろうけど。俺にチクられたらどうすんだ。まぁ、助けといてチクるってのも変だし、安心してるってことか。 「お前さ、ここ入って、こういう目に遭うかもって思わなかったのか」  好き好んでこの学校に来る一般生徒って、何考えてるのかが気になった。
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