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「な、な、んですか、これは一体!」  迎えの車が数多く待機しているロータリーに向かうと、迎えに立っていた夏樹が俺の姿を見て唖然とする。まぁ、頬は腫れているだろうし、唇の端は切れてる。正樹は手当てして帰った方がと言ってくれたけど、保健室は引き返さなきゃいけないし、面倒だからと言い含めて別れた。  これくらいの傷、大したことないし。  なのに夏樹は、俺の傷を見て狼狽え、両手で俺の顔を掴み、傾けまじまじとその傷を見つめる。 「こんなに腫れて、何があったんですか。警察呼びましょうか」 「阿呆。そこまでいいよ。ただの喧嘩」 「喧嘩って、やめてくださいよ」 「はいはい。父さんに面倒はかけないよ」 「そういうことを言ってるわけでは・・・・・・」  俺の行動一つでは、父さんの足を引っ張ることになる。そんな事、知っている。そんな息苦しさには慣れてるし、わざわざそんな面倒を起こして自分の首を絞めるようなことするつもりもない。  だから、あんないじめの仲裁に入るなんてほんとはやらないんだ。 「煩い。もういいだろ。車乗せるつもりないなら歩いて帰るけど」 「い、いえ。どうぞ乗ってください。帰ったら、手当てさせてくださいね」 「・・・・・・」  開けられた扉に、返事もせずに乗り込む。
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