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『瑛くんに、電話じゃなくて会えたらなぁ』
「そうだな。そうだ。手紙とか、書いてみるか」
『手紙?』
「父さんがさ、昔、親友とやり取りしてたんだって。それ聞いて、なんかいいなって思った。まぁ、今時手紙ってのも、ないかもだけど」
『いいね。メールだとあんま長々と書くのも気が引けるし、ポンポンとやり取りできるのは魅力的だけど、手紙かぁ。今度、書いて送るね』
「本気でやるのか?」
『え、瑛くん、やりたいんじゃないの?』
冗談半分、本気半分、そんな気持ちだった。父さんと、夏樹の父さんとのやり取りを聞いて、いいなって思ったのは確かだ。俺と正樹が二人みたいな関係まで達しているのかはわからないけれど。俺にとって正樹は、唯一無二の親友だと思ってる。
恥ずかしくて本人には言えないけど。
「じゃあ、正樹の手紙来たら、返事書く」
『わー。じゃあ、便箋買いに行くところから始めないと』
「ノートの切れ端じゃ、ダメなのか」
『ダメだよ。手紙なんだから、ちゃんとしないと!』
言い出した俺より正樹の方が乗り気なのはなんでだろうか。でも、馬鹿にされなくてよかった。なんて、正樹がバカにするなんて思ってはいないけれど。
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