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「それで、話というのは?」 「あ、あの。仕事の話ではなくて・・・・・・」 「ああ、なんだ。ならば社長の顔で聞く話ではないな。ちょっと待ってくれ。今やりかけている仕事を済ませてからでもいいか? 少し外に出よう。夕食でもいっしょにどうだ。家には外で済ませると連絡をしておこう」 「はい。すみません、お忙しいのに」 「なに言ってるんだ。家族の時間を融通できずしてなんになる。俺が働くのは、家族のため、つまりは瑛お前のためだ」  そんなことをサラリと言ってのける父さんにほんと敵わないなと肩を竦める。俺は菱川に勧められ少し椅子に座って父の仕事が終わるのを待った。  しばらくして、仕事を済ませ帰り支度まで済ませた父さんが「いこうか」と声をかけてくれるまで俺はどう切り出そうかと頭を働かせながら、夏樹に今日は父と食事をして帰るから送迎はいいと連絡を送った。  夏樹からは、了解した旨と、泣き顔の絵文字が贈られてきた。 「筧には連絡したのか?」 「ああ、はい。待っている間に」 「そうか。俺が良く接待で使ってる料亭があるんだが、そこでもいいかな?」 「いいですけど、そんな高価なところでなくても」 「俺が行きたいんだ。接待ではなかなか味わって食べられないからね。たまにはこういう贅沢もいいだろう」  父さんは笑ってそう言うと、菱川に指示をだし車を発進させた。
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