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「いっつ、もう! ちょっとは優しく手当しろよ!」
「知りませんよ。喧嘩なんかした瑛さんが悪いです」
家に戻って、さっそく手当をさせられた俺だけど、その手つきがめちゃくちゃキレてて乱暴で痛い。なんでそんな怒ってんだよ。押し付けられそうな保冷剤を夏樹の手から奪い取って自分で頬にあてる。もう今更だと思うけど。
「喧嘩の理由は、話してくださらないんですか」
「子どもの喧嘩にまで口挟むつもり?」
「そうではありませんけど。子供のって、子ども扱い嫌うくせに、こう言う時だけ使うんですね」
痛々しげな表情。その心配だって、別に俺自身の心配をしてるわけじゃないくせに。
「別に、俺から仕掛けたわけじゃないから安心してよ」
「そこは、心配なんてしていませんよ」
夏樹は一つ息を吐く。俺は、ぶっきら棒に「あっそ」って応えた。
保冷材は冷たくてすぐに外して夏樹につき返してやった。
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