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「俺は、この先、結婚することはできません。だから、子どもも持てません。跡継ぎを作らないといけないことはわかっていますが、どうしても俺には無理なんです。それを、話したくて来ました」  何から話そうかと考えて、まず言わないといけないのはその事だろうとそう切り出した。 「そうか」 「そ、そうかって、いいのか?」 「自然の流れで人を好きになって、結婚して子供ができてその子が跡継ぎになるのなら、それは喜ばしいものだが、跡継ぎ前提での結婚なんて俺は望んでいないよ」 「で、でも、ずっと血筋で後を継いでいるじゃないですか」 「それはそうだけどね、だからってこれからもそうじゃないといけないなんてことはない。瑛の次には、別に血筋など関係なく瑛がいいと思う人間を選べばいい。それに、跡継ぎだというが、瑛にその力がないと判断すれば、俺だって別の人間を後継に選ぶ事もありうるからな」 「そ、それは、覚悟してます」  仕事には、厳しい人だから。後を継がないといけないと思っていたけど、それなりの実力がなければ認めてはもらえないことをわかっていて勉強だってこれまで疎かにはしてこなかった。父が仕事に関して厳しい人だってわかっていたから。
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