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「すごい人だとは思っていたけど、まさかここまでとは」
唖然と見上げるのは、元々は慣れがあった場所を壊し新たにつくられた平屋建ての新居。家の敷地内にあるそこは、父が突然俺へのプレゼントだと言って家の設計士を呼び、作らせた俺と夏樹が暮らす家だ。
「俺も、驚いた」
隣で一緒にその新居を見上げる夏樹が少し困ったように笑う。あの日、父に料亭で話をした後、夏樹と一緒に呼び出された俺に、結婚をしないという事は一生寄り添っていくという事でいいんだな、と確認を取った父が、ならばいっしょに暮らすといい、とこの計画を持ち出したのだ。父は、二人で暮らした方が仕事の忙しい俺たちにとってもいいだろうから持ち出したが、自分も俺や夏樹の側にいたいと、自宅の敷地内に建てる様にと言い出した。その代わり、その費用は全面父が持つと。
そんな話、文句なんてつけようがない話だ。費用まで父持ちで、俺は夏樹とずっと一緒に暮らせる。いつかは、って淡い気持ちはあったけど、諸々の心配事があったから無理だろうと思っていたし。
父の思い切った行動には驚かされたが感謝しかない。
でも、ここまで父親に公認されるのも、なんだか恥ずかしいものがあるが。
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