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「瑛くん、おはよう」
「・・・・・・はよ」
正樹はあれから、教室で会うと笑顔で挨拶をしてくるようになった。すっかり、友だち然として接してくる様に、少し戸惑いを覚える。
「英語の課題やった?」
「んあ? あー、いちおやったけど」
「今日、そこから小テストがあるみたいだよ」
「はあ? なんでお前そんなの知ってんの」
「一応僕、委員長だから」
サラリと言われ、そうだったのかとそんなことも知らなかった自分に気づく。そして、委員長だからと小テスト情報が知れるのかと驚いた。
「なんてね。昨日、他のクラスもそうだったらしいから、多分うちもそうなるんじゃないかって推測」
「なるほどね。サンキュー」
言いながら正樹の前の席へと腰を下ろす。これは、どうしたらいいのだろう。後ろを振り向いて話の続きをしてやった方がいいのか。でも、それだと俺がものすごくこいつと友達をやりたいみたいでなんだか癪だ。席順が逆だったらいいのに。そうすれば、振り向いて話しかけてきた正樹に返事をするくらいならしてやってもいいのに。
そう考えて、当たり前みたいに上から目線な考えをしている自分に嫌気がさした。
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