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 ここは学校で、正樹と俺は同じクラスで。普通だったら、頭の良さの順位はあったにしても、平等なはずだ。でも、ここには当たり前のように金持ちとそうじゃない奴が混同していて。金持ちの奴らは当然の如くそうじゃない奴らを見下しているし、そうじゃない奴らも当たり前のように金持ちの奴らに気を遣って生きている。  こんな狭い世界の中で、上も下もないだろうに。  英語は、正樹の言うとおり小テストが行われた。げー、っとブーイングが起きている中、俺とそれからおそらく正樹だけは至って冷静に配られるプリントを眺めている。 「テスト、できた?」 「・・・・・・普通」 「とか言って、満点とってるんでしょ」  後ろから掛けられた声に、仕方なしという雰囲気を醸し出しながら振り返る。目線が合うと少しホッとしたような表情を浮かべ正樹が笑った。 「満点なのは、正樹の方じゃないのか。昨日から知ってたなら、対策も万全だろ」 「知ったのは今朝だけど、でも、僕英語嫌いじゃないから」  嫌いじゃない、ねぇ。軽く昨日正樹について調べた。全教科でトップ周辺にいるって知ってんだからな。英語以外だって、できるくせに。 「瑛くんは、教科なにが得意なの?」 「・・・・・・別に、なにが得意とか。必要があるからやってるだけだし」  俺にとって勉強は、好きでやってるわけではなく、必要だからやらざるを得ないだけだ。必要だから、ある程度の成績をとるために必死になっているだけ。
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