至理5 セックス断ちは✕

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至理5 セックス断ちは✕

○素女経 至理5 黃帝は素女に問うて曰く:「今、長きに交接せざらんと欲さば、之は奈何んぞを為さんか?」と。素女は曰く:「不可なり。天地に開闔有り、陰陽に施化有り。人の法は陰陽が四時に隨い、今、交接せざらんと欲さば、神氣は宣佈せざらず、陰陽は閉隔せん。何ぞを以て自ら補わんか? 練氣を數しば行ない、(ふる)きを去りて新しきを納め、以て自助たるなり。玉莖の動かざらば、則ち辟死し其を捨て、常に以て行じ當に導引せんとせる所以なり。能く動きて施さざるは、所謂、還精なり。還精は益したるを補し、生道は乃ち著し」と。 陰門にハマるのがヤバい、 では、セックス断ちをするのはどうか? 申し上げよう。 アホか、である。 雑に申し上げれば、セックスとは、 人間に定められたものである。 太陽が東から登るのとか、 太陽が沈めば夜になるとか、 四季があるとか。 そういうレベルで、 「そこにあるもの」なのである。 斯くのごとき、あるのが当たり前のもの、 を断たば、身体のバランスは、崩れる。 なので、節度を保ったセックスと、 セックスに向けて己が身を整えておく、 これに如くことはない。 では、身を整えるために必要なのは何か。 練気、導引、還精である。 練気:  呼吸法。呼吸により、  大気中の新しき気を取り込み、  古き気を吐き出す。  これによって、気の巡りを通じさせる。 導引:  ストレッチである。  なお、についても  ように。  でないと、いざ本番、という時に  機能が鈍るのでな。 還精:  イキそうになったら止める。  これが実は重要である。  発射しそうになったジュニアの種を  体内に戻す、名のごとくであるな。  これを実践すると、見違えるように  元気になるのである。 ○崔浩先生、曰く この手の条で、無理に カーマ・スートラを接続するのは諦めよう。 ここで素女経の基本思想についての 雑感をまとめておこう。 太極図をご存知であろうか。 白の勾玉と黒の勾玉が くっつきあっているような、あれである。 中国の思想は、その多くが あの図に収斂されていく。 それは素女経における男女の交わりも同一。 男の「陽」の気と、女の「陰」の気。 この巡りをいかにスムーズになすか、 と言うのが、素女経の思想である。 その思想において、むしろ射精は 気の巡りの阻害要素となっている、 とすら認識されている。 と言うよりも、「射精」が あまりにもわかりやすい快楽であり、 更に体内射精と言うのは、 ある意味で男の支配欲充足にもつながる。 よって男の快楽追求がどうしても 射精偏重となり過ぎ、 女の快楽を度外視する、 と言う事態が多く発生したのであろう。 この観念の強固さは凄まじい。 二十一世紀日本でもほぼ変わっておらぬ、 とすら言ってしまえるからな。 よって、素女経にては いかにその傾向を食い止めるか、に 主眼があったのやもしれぬ。 それにしても、別に断ちたくないのに 縁がない人間たちを 殺す気まんまんな言説であるな。 まあ、帝王、つまり子孫をなすことが 責務である人間向けの書なので、 やむをえぬところなのだが。
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