42.新しい人生(1)

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42.新しい人生(1)

和成は翔を案内すると、かいつまんで仕事の内容を説明した。 翔は弟の仕事に興味深々で、部屋に入るなりくまなく辺りを見回す。 「こっちが共同経営者の南波 雅也(ナンバ マサヤ)。」 『南波です。』 <いつも弟がお世話になってます。> 翔は雅也に、そつなく笑顔で握手を求めて礼を述べていた。 それに引き替え、応えて手を出した雅也は少し複雑な表情をしていた。 「…。」 表情をこわばらせて黙った雅也に、翔は流石におかしいと思ったらしく、怪訝な表情を浮かべる。 「雅也は兄貴も良く知ってたし、仲良かったよ。」 『カズっ。』 <そうなのか…?> 『あ…。』 雅也は慌てながら、でも「まあ…」などと言って、誤魔化し気味に肯定していた。 <覚えてなくて悪いね。良かったら今度、飲みに行かないか…? 新しい友好関係なら自信あるんだ。> 『え…あの…その…。』 「「うん」って言っとけよ。兄貴の事 大好きなくせに、何、遠慮してんだよ。俺が付いて行くに決まってんだから。」 『カズっ!』 和成の言葉に、雅也はおかしいくらい狼狽えていた。 せっかく覚えていないのに、わざわざバラされてどうしたらいいかもわからない。 <はは…そうだな。和に付いてきてもらった方が助かるかな。> だが、翔の方はあっさりと受け流していた。 穏やかな空気が流れる。 きっと翔の天性の技なんだろうと、誰もが感心する。 みんなの居心地良くなって、彼に付いて行きたくなるんだ。 まあ、癖が強いから本当に付いて行くなんて無理だけど…っと、彼をよく知る二人は同時に思っていた。 *:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。 *:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。 昔、修学旅行に必要なモノをそろえようと、兄ちゃんたちが出かけたことがあった。 きっと一日では揃えきれないと思うからって、そんな話をしながら出かけて行った。 〔すごいんだよ翔くん。ちっとも休憩しないんだ。〕 『えっ!?…にいやん、しんどかったの?』 〔そんなじゃ、ないけど…。〕 「…さとにいちゃん、疲れたんだ。」   〔ん…ちょっとね。〕 『!!∑(゚Д゚)!』 「大丈夫だよ。ただ…翔くんのお友達は大変だなぁって思っただけ。 ふふっ。」 さと兄はそう言って翔兄に止めをさすと、殺人的に可愛い笑顔を見せていた。 可愛い… 笑顔を… *:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。 *:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。
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