モリヤ

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モリヤ

「こんな日に客人とは珍しい」  扉を開けたのは、身長180センチメートルはあろうかという細身の大男だった。彼は見た目こそ若々しかったが、手や顔の細部には皺があり、深緑色のロングコートと黒いスキニージーンズを身に纏っていた。頭にはツバの広い緑色のとんがり帽子を被り、隙間からは白髪交じりの髪の毛が顔を覗かせていた。ムーミンに出てくるスナフキン、あのキャラクターがそのまま歳を取って出てきたような見た目をしていた。  私はその男の背の高さと二次元的容姿に気圧されたが、勇気を出して声を振り絞った。 「あの、この森から出たいのですが…」  私の声は掠れて、ほとんど宙に消えてしまいそうだった。さっきは友人の名前を呼び続けながら必死で歩き回っていたのだ。気が付いたら私の喉は傷つき、枯れていた。  男は事情を察したのか一言呟いた。 「なんだ、カスタマーではなくゲストだったか。まぁ、珍しいことに変わりはないか」  私にはその言葉の意味は分からなかった。男は続けて言った。
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