プロローグ

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「あそこって自殺したい人が行くところでしょ」  私は光希に言った。富士の樹海よろしく、迷いの森もスーサイドフォレストとして外国人観光客で賑わう日も近いだろう。 「今度行ってみようぜ」  光希は勉強ができないバカだとばかり思っていたが、本当に頭の悪いやつだった。なぜ高校生活における貴重な休日を屍と過ごさねばならぬのだ。私は丁重に断るつもりだった。  しかしその反面、好奇心というものが全くなかったわけではない。かつては噂が一人歩きしていただけの存在。小さな町で噂は強い伝染力を持ち、やがて本当に心霊スポットになってしまったが、本来はただの自然が造り上げた造形物でしかないはずだ。 「そうだ、美加と夏樹も誘おうぜ。4人で心霊スポット巡りだ!」  美加は中学校の頃からの私の友人。家が近かったこともあり、休日もよく一緒に過ごしていた。互いに互いを信頼できる、竹馬の友と言うやつだ。学力が同じくらいだったこともあり、同じ高校を受験し、二人で合格発表に行ったときは、二人で互いの番号を確認し、抱き合って喜んだものだ。  
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