僕と幼なじみとそれから……

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 外は骨の髄まで凍るほど、寒かった。もう少し、厚着をして来るべきだったと、今更後悔。  僕は手のひらに息を吹きかけて、寒さを紛らわしていると、隣を歩く彼女が言葉を発した。 「それでさぁ、願い、決まった?」 「いえ、まだです」 「全く、早く決めてくれよな」  僕は考えた。もし、幼なじみを守るための自己犠牲のお礼として、願いを叶えると言っているのなら、それはありがた迷惑だと言う物だ。  僕は僕の道理に従っただけであり、感謝されるのは嬉しいが、物質的な礼には及ばない。  その旨を伝える。 「なぜ、貴方は僕の願いを叶えようとするのですか? もし、アイツ(幼なじみ)のことを気遣ってそう言ってくれてるなら、僕は気にしてませんので」 「うん? なんのことだ?」 「貴方はアイツの親戚か何かですよね? それで、僕の行いを評価してくれて、その恩返しに願いを叶えようって言ってくれてるんですよね?」 「いやいや、アタシはお前の幼なじみの親戚でもなんでもないけど」  僕は驚いた。そして、思ったことをそのまま口にする。 「貴方は一体、何者なんですか?」  すると、彼女は立ち止まり言った。 「アタシは、人間の精力を代償に願いを叶える悪魔さ」  彼女の背中から、大きな羽が二枚バサっと広がる。蝙蝠のような悪魔の羽だ。 「悪魔?」 「そう、悪魔。この羽、見えない?」 「見えますけど……なんで、悪魔さんが僕の願いを叶えようとするのですか?」 「数ヶ月前、アタシはお前の幼なじみに召喚された。しかし、知っての通り、アタシの召喚者は自ら命を絶ち、成仏しちまった、アタシが願いを叶える前にな。そうなった場合、悪魔の規定的には、召喚者が一番大事に思ってる奴を調べて、ソイツの願いを叶えることになってるんだ。だから、アタシはお前の願いを叶える。そうしないと、アタシはいつまで経っても、魔界に帰れないからな」 「はぁ……」 「なんだ? 信じられないって顔つきだな」 「それは……まぁ、そうですね」  すると、彼女は溜息を吐き、僕の背後に移動し、腹に手を回す、背中に柔らかい何かが当たる感触がした。  そして、羽がバサバサと大きく羽ばたき、辺りに旋風が巻き起こり、浮遊し始める。 「空でも飛んだら、お前も信じられるだろ」  そう言って、彼女に連れられ、僕は空を駆った。
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