story2.私の百花繚乱物語

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 それからもたびたび私の持ち物が紛失する出来事は続いた。教科書、ノート、体操着、英和辞典……いつも学校のどこかで見つかって、見つけた人が届けてくれたり自分で見つけたり、さらに今日はびりびりに破られた私のノートが見つかった。  昼休み、学校内のカフェテリアで私は亜矢と、この二年生で友達になった美織ちゃんと桃子ちゃんと四人で昼食を過ごしていた。 「なんで奈緒が嫌がらせされなくちゃいけないの?」 「そうだよ。もう先生に言った方がいいよ」 嫌がらせが続いていることに亜矢と美織ちゃんはかなり怒っている。終始考え込んでいた桃子ちゃんがハッとした顔で私を見た。 「もしかしたらなんだけど、奈緒ちゃんがこの前のテストで2位になったからじゃない?」  私達のリーダー的存在の桃子ちゃんはクラスの学級委員をしているしっかり者。成績も良く、今回のテストでは総合順位で10位に入っていた。 「でも2位になったからって嫌がらせするもの? 奈緒の実力なのに」 「でも奈緒ちゃんが2位になったことで嫉妬したり妬む人はいると思う」  桃子ちゃんの指摘を聞いて思い当たることはあった。嫌がらせは中間テストの順位が貼り出された翌日から始まった。  今まで平凡に地味に生きてきた私は誰かの恨みを買う覚えはない。心当たりと言うならあの順位表だけ……。 私に教科書を届けてくれた先輩のの言葉。言われた時は深く考えもしなかったけどあの言葉が意味していたのはこういうことだったのかな。  嫌がらせは延々と続き、6月中旬になった。  梅雨のじめじめとした空気がまとわりつくこの時期の、雨の匂いが好き。ペトリコールと名付けられた雨が降る前に地面から香るあの匂いが好きなの。 放課後、用務員のおばさんと花壇の手入れをしていた。 「増田さんごめんね。今日は部活じゃないのに手伝ってもらって」 「いいえ。私土いじり大好きですから!」  体操着に着替えて軍手をはめた手で丁寧に花壇を造っていく。家はマンションだから本格的なガーデニングができない。 だから花好きの私は学校中の花壇の手入れができて幸せ。学校の花壇のどこにどんな花が植えてあるか、すべてを把握している生徒は全校生徒の中でも私だけだと胸を張って言える。  将来は花に関係する仕事をしてみたいなぁとぼんやりとした将来像を描いて、花との触れあいを楽しんだ。
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