story2.私の百花繚乱物語

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6月24日(Mon) 「嫌がらせ無くなったね」  2限目の体育の授業を終えて更衣室で着替えている時に亜矢が呟いた。私は体操着を脱いで制服のシャツを羽織る。  衣替えを迎えて制服も夏服。杉澤学院高校の夏服は青いシャツに男子は紺色のネクタイと紺と青のチェックのズボン、女子は紺色のリボンに紺と青のチェックスカート。指定のベストは着用自由。 私はまだ肌寒い日もある6月はベストを着るのが好き。 「嫌がらせが無くなったのはホッとしたけど、3週間くらい続いていたのにいきなり無くなるのもちょっと不気味」 「だよねー。でもやっぱり高園先輩達が怖くて止めたんだよ。うちの学校で高園先輩達を敵に回したら大変なことになるだろうから。とにかくこれで一安心だね」 亜矢は笑っていたけど、私は腑に落ちなくて、何か気持ちの悪い違和感を感じていた。シャツを着て、制服のスカートを履こうとした時、ある異変に気付く。 「……あっ……」 「どうした?」 「……ううん。なんでもない」  亜矢や他の子達に知られないように笑って誤魔化して素早くスカートを履いた。3限目の生物の授業を終えた休み時間にトイレに駆け込み、スカートを脱いでその部分をよく見てみる。 スカートのヒダとチェック柄に隠れて見えにくいけど、後ろ側の裾の近く、紺と青のチェック模様の一ヶ所にハサミで切ったような小さな切り込みがあった。 何かに引っかけて割けたのではない。よく見なければわからない切り込み。これは作為的だ。  持ち物が盗まれる嫌がらせが無くなった矢先に今度は誰かにスカートを切られた。これもあの三人組の仕業? 訳のわからない嫌がらせに途方に暮れてトイレを出た時に校内放送のチャイムが鳴った。 {生徒会長の高園です。生徒会から皆さんにお知らせしたいことがあります。今日の昼休み終了後は午後の授業日程を変更して、緊急の全校集会を行います。一年生から三年生まで、全校生徒は昼休み終了後の予鈴の前に体育館に集まってください。繰り返します}  スピーカーから聞こえる高園先輩の声に廊下を歩く生徒も足を止め、お喋りに興じていた女の子達も話すのを止めた。誰も彼もが高園先輩の放送に聞き入っている。 緊急の全校集会? 生徒会からのお知らせってなんだろう。
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