story3.Summer vacation 2002

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9.陰謀の夜  都心の一等地に建つ高層マンションの最上階。男は黒色のソファーに体を沈めて目の前の大きな窓に広がる東京の夜景を眺めている。 {奴らが溜まり場にしている場所がわかりました。西新宿のシックザール。ヴィンテージの楽器屋です} 『楽器屋……そうか。四人のうち二人はバンドをやっているんだったな』 携帯電話から聞こえる報告に彼はシルバーの指輪をいくつも嵌めた細い指で顎を撫でる。 {動きますか?} 『いや、まだ動くな。学校から追った二人には気付かれて巻かれたんだろ? 奴らも今日は警戒しているはず。今日動けばかえってこちらの不利になる』  電話の相手との会話の途中で扉が開いた。金色のショートヘアーの女が部屋に入って来る。赤いレースのベビードールを纏う女はレースの裾を太ももの辺りで揺らしてソファーにいる男に近付いた。 金髪の女は電話の最中の男の背後から彼の首もとに腕を回して抱きついた。腰を高く突き出した女のベビードールがめくれ、ベビードールとお揃いの赤いレースのソングから大振りな白いヒップが覗く。  彼は電話相手に別れを告げて携帯電話を傍らに置くと、首に回された女の腕を人差し指でなぞった。くすぐったそうに身をよじった女がかすかに笑った。 『あの四人組、君の言っていた通りなかなか面白い連中のようだね』 「遊びがいがあるでしょう?」 『そうだね。いいオモチャになりそうだ』  女はソファーを回り込んで男の側に寄った。彼女は男の目の前で履いているソングの腰紐をほどき、女の下半身を覆っていた面積の小さな赤い布がパサリと床に落ちた。 ベビードールも脱いで裸になった女は男の膝の上に乗り、男が女を抱き寄せキスをする。ソファーの上に重なる男女の影が窓ガラスに映っていた。  晴、そして悠真、隼人、亮の四人は隠れた陰謀にまだ気付かずに、彼らは高校生活最後の夏休みを迎えた。
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