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26.陰謀の裏
都心部へ向けて走行する車の中で相澤直輝は携帯電話で話をしていた。後部座席に脚を組んで座る彼はしきりにライターの蓋を開けたり閉めたりを繰り返す。
『……はい、少々手違いで計画に狂いが生じまして……。女は使えない駒でしたので捨ててきました』
煙草をくわえてライターで火を灯す。
『弟は何も知りませんから放っておいて問題ありません。ただ女の方が僕の名前を出した時に僕に警察の捜査が及ばないようにしていただきたいのです。僕が警察の厄介になればそちらも何かと面倒でしょう?』
相澤には何があっても安全圏にいられる自信があった。何故ならば自分の後ろにはあの男がついているのだから。
通話相手は相澤の願いを承諾した。
『はい、ありがとうございます。感謝いたします。キング』
この世で一番の悪は誰なのだろう?
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