茜ちゃんは、ひとくちたべたい。

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 お友達が物欲しげに私の目の前の皿を見つめている。じーっと見つめている。  そして人差し指をちょこんと唇にあてた。 「そっちのパスタも美味しそう。ね、(あかね)、一口ちょうだい?」 「ん、どうぞ」  にっこりとお友達の表情が花開く。フォークを手に取りくるくると私のスパゲティを巻き上げ、口に運んだ。ふわりと花が綻ぶ。「うん、やっぱり美味しい」  『一口ちょうだい』は嫌われる、なんて巷ではよく言われている。自分のものは全部自分で食べたいのに、とか、食べてる途中なのに汚い、無神経だ、とか。でも友達同士で『一口ちょうだい』って私はアリだと思う。だって色んな味のものを食べてみたいって思うし、いろんな味のものをシェアすればより食事が楽しめるから。  だから私も人差し指をちょこんと唇にあて、 「私にもそっちの一口ちょうだい?」 「どうぞどうぞ」  手を伸ばして私のとは別の味を一巻き貰う。もぐもぐ。うん、これも美味しい。自分の方の味と甲乙つけがたいな。でも、こうやって比較できるのはとてもいいことね。私の食欲を充分に満たす事ができるもの。  私達は食事をシェアしあいながら、仲良くランチを食べ終えた。
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