1.序章(4)

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1.序章(4)

直希には見ただけで、芹沢が金持ちなのはわかった。 行くところのない俺をどんな気まぐれか、自宅に連れてきた得体のしれないオッサン。 なんかされたら… そう考えてバカバカしくなった。 おれは女じゃない。 いくら綺麗だと言われるからって男は所詮男だ。 ふと暖炉のそばにある写真盾が、一つだけ伏せられているのが直希は気になっていた。 なんだっていい。 どうせ行くところはない。 祖父母は僕の扱いに、ほとほと困り果てていた。 だからきっと、僕を探しはしないだろう。 事実上の保護者は新しい家族に俺の事が知れるのを嫌がって、ほとんど関知してこない。 もう一人の保護者だった相手がどこにいるのかは知らない。 あの女は… 僕を置いてとっとと逃げだした。 僕の事を人形のように可愛がっておきながら、病気の事が解った途端、僕の母親である事を辞めたんだ。 直希には何もかもがどうでもよかった。 この一見凡庸そうなオッサンが、豹変して僕を犯してきても構わない。 そんな事を考え始めていた。 ただどうせなら上手い相手にお願いしたい。 そうでなければどうなるか、直希はとっくにその事を理解していた。 直希に周りにいた女たちは、こっちがお願いしなくても勝手に彼に奉仕したがった。 その度にげんなりしたが、その瞬間は快感を得られ、人肌を心地いいと感じることが出来た。 何も感じないが、僅かな間気持ちのいいだけの排泄行為。 きっと豚を抱いて寝ても同じように暖かいだろう。 ククッ… 女に自分がまだ小学生だと明かすと、青ざめて逃げようとする。 最後にはどいつも大金をよこしてきた。 後には… 言いしれない虚しさだけが残った。 ソレが果たして女が相手だからなのか、自分の性癖によるものなのか不明だった。 津田 直希(ツダ ナオキ)は愛情に飢えた少年だった。
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