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ディランが目を覚ますと隣に居る筈の恋人の姿がなかった。昨夜散々無理させたのでまだ眠っていると思ったのだが、一体どこに行ったのか。ディランは寝ぼけた頭を無理やり起こして、ベッド下に投げ捨てられていたガウンを羽織ってバスルームへと向かった。 「〜〜〜〜っ!!!」 ディランがバスルームを覗くと、鏡の前で声にならない悲鳴を上げているレヴィを見つけた。レヴィの身体は比喩なしで全身にキスマークや噛み跡が散在しており、朝日の下では一層際立っていた。赤くなったり青くなったりを繰り返すレヴィをいつものポーカーフェイスはどこへ行ったんだと思いながらディランが眺めていると、レヴィは深いため息を吐いたあと近くに置いてあった携帯からどこかへ電話を掛ける素振りを見せた。 「……Good morning.朝から元気で何よりだ…あぁ喚くなよ、シャワーの催促じゃない。週末入れてたやつキャンセルにしてくれ。違うよ、シャワーの件は関係ないこっちの都合なんだ。あぁ…あぁ……すまない。じゃ、よろしく頼むよ。」 電話を切ってもう一度ため息を吐くレヴィに、"おや、邪魔するつもりなかったんだが"と悪びれる様子もなくディランはコーヒーを入れる為にキッチンへと向かった。 レヴィはと言うと、ディランに気付くわけでもなくまだ鏡とにらめっこをしている。 「はぁ…まったくディランの奴!しばらく消えないだろこれ………まぁ、嬉しくなかったわけじゃ…ない、けど。でもなぁ、これじゃ消えるまでジムなんか行けたもんじゃない……。」 ディランが勘違いに気付くことは多分、ない。
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