プロローグ

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茶木は、一升瓶を廊下の床に置くと、塩をパラパラ巻いて 反応を探ったが、何も起きず、拍子抜けしたように鼻を鳴らし寝室に向かうと、 何かに引っ張られるように、フローリングを滑り、後ろの壁に頭を打ち付けた。 ガクガク震え、一升瓶の冷酒を瓶ごと口に運ぶと、あまりの酷い味にブッと吐き出し、もつれるように玄関の扉に向かうと 田辺一郎は 「どうしました?茶木さん」 「や、やばいす、……マジに出るヤツじゃないすか、ちょ、ちょっと御上さん呼んで来ます」 「はぁ」 田辺一郎は飽きれたように見送ると茶木はヘロヘロしながら、外に留まった中古のボルボに走ってき 後部座の窓を叩いた。 「兄貴、マジもんす、俺じゃムリです。起きてくださいよ」 と声をかけると、座席に寝転がっていた、 御上侑哉(みかみゆうや)が身体を起こした 「いつもの浮遊霊じゃないす、塩も役に立たなかったし、冷酒も味が変わってました、ヤバイ奴だと味が変わるんでしょ?」 茶木がしどろもどろに説明すると、御上は不機嫌そうにタバコに火をつけ、 「まったく」 と洩らすと車から降り立った。
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