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「あの、その髪の毛はどうするんです?」
「この手の呪いは燃やしちまうのが一番の解決だ、薪は特別なものが必要だがな、まあ俺がやっといてやるよ」
「そうですか……。この度は、ありがとうございました」
田辺一郎が頭を下げると
「ふん。仕事なんでね」
「あの謝礼のほうは、いくらほど?」
「300万てとこだな」
「さ、300万」
「必要経費に100万、俺の出張料に200万。嫌なら、今すぐ、この髪の毛、戻しておくが」
「は、払いますよ」
「賢明だな。この口座に頼むぜ、行くぞ、茶木」
御上は、そう言うと、そそくさと帰っていった。
玄関口を出て前を歩く御上に、茶木は
「ボリすぎじゃないですかね?兄貴」
「そんなことねぇよ、梵字の弾丸も、木箱も、お札も、これから燃やすための薪も、そうとうの元手がかかってんだ。あれぐらい安いもんだ」
「世の中も、あの世も金次第て事すか?」
「下に恐ろしきは人間の業、金さえありゃ、地獄の沙汰もなんたらてヤツだ」
御上は、そう言うと後部座に寝転がったのだった。
続く
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