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プロローグ
田辺夫妻が拝み屋などという、得体の知れない、胡散臭い商いの輩を頼んだのは
最近、新居で起きている原因不明の怪奇現象に依るものだ。
警察、檀家の僧侶に頼りはしたものの、何の解決にもならず、妻は心労で入院。
神にも祈る気持ちで、インターネット広告の拝み屋、御上に連絡をしたが、現れた男に少々ガッカリしていた。
髪を染め青いスカジャンに、ヘラヘラした若者は、いかにもチャラ男で軽い返答に家主の田辺一郎は眉を潜めた。
「なるほど、ラップ音にポルターガイストですか」
チャラ男はウンウンと頷く
「あの?本当に大丈夫なんですか?御上さん」
「ああ、俺は御上さんじゃないす、助手の茶木賢也て言いますっす」
「えっ?御上さんじゃないんですか?」
「すいません、本人は、朝、早いと、車で寝てまして、でも安心してください、俺でも祓えますから、任せてくださいす」
田辺一郎は茶木のという若者に不信感しか感じなかったが、彼は袋に入った塩と清酒が入った一升瓶を持ち
「えーと、よく怪奇現象起こるとこは、どこすか?」
「はぁ、寝室の廊下なんですが…」
「じゃ、行ってきますね、ここで待っててくださいす」
茶木はニッコリ笑うと応接間を後にした。
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