9月:アクイラ

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途切れのない雨は少し肌寒さを感じるようになってきた。 居心地の変化はそろそろ帰らなきゃいけないことを示していた。 一言二言しか話せてない事実に寂しさが残るが、どうしようもなかった。 言いたいことは言えた。未練がましく思うのはやめよう。けれどこれくらいのお喋りで長居しても、構わないよね。 「最後に一ついいかな?」 2人して地平線を見つめて僕は問いかけた。 「うん、もちろん。」 断る素振りもなく二つ返事で答えてくれたから僕も言い淀むことなく問い返す。 「君の名前は?」 最後の質問は本来最初に言うべき疑問。 聞かれると思ってなかったのか初め感情を顕にしたて表情を見せてくれた。 そして再び優しげな笑みを浮かべると教えてくれた。 「僕はポラリス。」 ポラリス…そうか、君は僕らをいつも見ていてくれてたんだね。 この先言葉を交える機会は訪れないだろう。 それでも僕という存在を君に覚えていて欲しい。 突出した才能はなかったし、平均と比べて短かった僕の物語。最後のページに21年間慣れ親しんだ文字を並べた。 「僕の名前はエディック・ロウ。」
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