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目が覚めたら家の直ぐ下にある浜辺に座っていた。…おかしい。部屋のベッドで寝ていたはずなのに。まさか、本当にあの島が存在してそこに行っていた?有り得ない。
服に付いた砂や草を払い立ち上がる。
濡れていた服から塩の匂いはしなかった。
次の日いつも通り教室に入る。
おはよう、と挨拶を交わして同級生と話しているとあの話が話題に上がる。
「なぁなぁ先月も傘のある島に行った人がいたらしいぜ!」
「…へぇ。リアルな夢とかじゃないの?」
軽く笑いながら聞けば興奮気味に話を進める。
「それがネットに書かれてる事よりも詳細に説明したり、島に行ったことある人と全く同じ絵を描いたらしくってよ!」
そう言って携帯に表示させ見せてくれた画像は、僕が見た夢と全く同じ島だった。
天気の違いはあれど、地面や砂浜、大きな傘までもが完全な一致をしていた。
「僕は…」
「はぁ、今月は俺が選ばれねぇかなぁ。そうしたら自慢話になるし、女子から声掛けてもらえそうじゃん?」
先月行った彼女は自殺を思いとどめ、僕は。
「君はそんなの待ってる時点で女の子から好かれないだろうね。」
「は?お前急にどうしたんだよ。」
拍子抜けして貼り付けた笑顔で問われる。
大方“ごめん、冗談だよ”って言うのを待ってるのだろう。何もかも待ち続ける彼は行動を起こす事も、変わることもないだろうね。
…僕は運良く変わるチャンスを、変わるきっかけをもらった。
夢と決めつけ名前も聞かなかった彼に会うことは二度と叶わない。それでも同じ空を持つと信じて天にありがとうと呟いた。
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