0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
ここはハラスの国、地球上ではあるが、私たちの世界とは交わらない、いわゆる異世界だ。何百年もハラス王国が治めていたのだが、数年前、独自に力を付けた魔族の民が魔術により世界を侵略、法律を定め、ハラスの国自体を魔族の国とした。魔族でないものは差別を受け、虐げられていた。すむ場所、職業、服装まで制限されていた。数々の勇者が魔族の政治の破壊をしようとするも、魔術の力にはかなわず、命を落としていった。だが、この国に二人のみ魔術の影響の受けない人間がいた…。
「ねえ嫌だよ~死にたくないよ~行きたくないよ~。」
「貴様何を言うか!我が国の王女である私が国の為、人々の為に働かなくてどうする!」
「僕は関係ないじゃないか~。」
「お前もこの国の人間ならばこの国の役にたたぬか!こんな生活、お前も、もう嫌だろう?」
「そりゃそうだけどさぁ…」
この二人は魔族と闘う為に国王から推薦された勇者たちである。
いかにも弱そうな、女々しいほうがカルナ、16歳。れっきとした男であるが、華奢な身体で、筋肉の付きが悪く、体質のせいで髪が伸びやすく、声も声変わり前のように高く、小柄で、目も二重で、両親でさえ女だと思っていたほどだ。今まで初対面で男だと認識されたことがない。動作までいちいち女々しいので、町の男たちから告白されたり、魔族の者に女装させられ、いつもこの格好で居るようにと言われたりもした。いわゆる男の娘である。
「僕みたいなのが、国を取り戻せるわけないよ!ううっ…」
「弱音を吐くな!」
こちらがナリア同じく16歳。国王の実の娘、すなわちハラス王国の王女である。女であることを好まず、いつも男ものの服を着ている。男から見てもかなりの男前(女なのに)なので、貴族の娘によく告白されたり、町娘からもモテモテである。髪は肩に届かない位のショートカットの茶髪で胸のほうもCカップくらいはあるので、女性として見れば中々の美人である。実は幼い時に母を病で亡くしている。
「やっぱり帰ろうよ~。どうせ勝てないんだから~。」
「早く行くぞ!私たちに協力しなければ、お前はずっと女の格好だぞ!」
「そんなの嫌だよ~。」
「なら来い!」
「ううっ…ぐすっ…」
こんな会話を繰り返し、今晩泊まる予定の宿のあるサラムの町に向かった。【八里の森】という森を抜けるところで、木の影からキメラを連れた盗賊が現れた。
「おい、あんたら、カップルか何か知らねえが、金目の物を渡しな。」
カルナはナリアの背中に隠れて怯えている。
「金目の物が無くても、後ろのお嬢ちゃんでもいいぜ。俺たち全員のタイプだ。」
「僕は男だよ!」
盗賊たちの目は点になった。目の前の美少女が男だとやはり信じられないようだ。
「そうか、どちらも男なら手加減は要らねぇな。」
「私は女なのだが…」
さっきと同じ表情の盗賊たち。
「ああもう!どうでもいい!何も置いていくつもりはないようだな!オメーらやってしまえ!」
盗賊たちの連れていたキメラたちは二人に向かって走って来た。
その時、閃光が走り、ナリアの姿がなくなったと思った刹那、全てのキメラは気絶していた。ナリアは盗賊の一人の背後に立っていた。
「今諦めれば、見逃してやるぞ。まだ関わってくると言うならば…命は無いぞ。」
ナリアは盗賊の耳元で囁いた。
これがナリアのスキルの一つ、
【刹那の戯れ】
そいつはその場にへたりこんだ。恐怖がにじんだ顔をしていた。
「くっ…もういい!そこの…そいつを人質にとるぞ!」
カルナは一人に腕を掴まれ、人質にとられてしまった。カルナには力がないせいで振り払う事ができなかった。ナリアは落ち着いていた。
その時、またナリアの姿が消えたのだ。盗賊たちはあたりを確認したが何もなく、落ち着いた。
「オメーの仲間は逃げたんだよ。残念だったな!」
そう言って盗賊が笑っていると、全員(カルナは除く)の首筋を恐ろしいほどに冷たい手で触られた気がした。声をあげた者からどんどんと倒れていった。
これもスキルの一つ、【Hands of Ghost】
このスキルを行使された者は声を出した瞬間、体温を急速に吸いとられ、一時的に低体温症になる。カルナを拉致している男も声を出せばたちまち倒れてしまうだろう。男は必死に堪えているがその間にどんどん体温が吸いとられていっている。
「貴様、今そいつを放せばお前を解放してやる。」
「分かった分かった、もうしねーからさ…あっ…」
男は倒れてしまった。解く前に喋るからだ。
カルナは泣きながらナリアに抱きついた。子供か。
「ありがとうナリア~!。怖かったよ~!。」
目を潤ませたカルナはナリアを見上げた。
本当に女なのかというほど髪も肌も柔らかい、匂いも告白してきた女の子たちと同じだ。
ナリアは内心、可愛いと感じてしまった。カルナがとてもいとおしかった。顔が赤くなっているのにも自分でも気付いた。
「僕、決めたよ!強くなって、今度は僕がナリアを守る!」
「いや、無理だろう…とにかく離れてくれ…その…恥ずかしい…」
「えっ?なんて?」
「何でもない。」
「そっか。とにかく、僕もナリアみたいになって、ナリアを守れるようになるよ!ここで誓うよ。」
「そうか。期待しているぞ。」
ナリアは笑顔になった。向日葵のような満面の笑みを。
「ナリアが僕の前で初めて笑った!!可愛いね!」
「バカ!何を言うか。まったく…」
「あー照れてる~。可愛いねぇ~。」
「もう行くぞ!」
「ハイハイ」
二人は森を抜けて、サラムの町へ向かった。その道中、二人はお互いの仲が縮まったように感じていた。
町までは草原の中に農家の家がある程度で何もなく、二人はただ歩いているだけだった。
「ねぇナリア。君は小さい頃からそんな性格だったの?」
カルナは気になった事を尋ねた。ナリアは、
「ああ。私が10ほどの事だったか、私の城には女騎士長がいたのだ。毎日幼い私と遊んでメイドたちよりも面倒見のいい人だった。」
「いた?今はいないの?」
「そうだ。私と父上が数人の家来とその騎士長と出掛けたのだ、するとその先で魔術師と出会ったのだ。そいつは中々強者でな、家来たちは歯が立たなかったのだ。だが、騎士長だけは違ったんだ。並外れたスキルの応用力と身体能力で相手を追い詰めたのだ。だが魔術師は瀕死の状態で騎士長を吸収して回復しようとした。騎士長はそいつに取り込まれそうになった時、捨て身のスキル、大爆発を使ったのだ。本来ならば、地形まで変えてしまう最大級のスキルなのだが、爆発の瞬間に自分達の周りに結界をはり、周りに被害が及ばないようにしたのだ。」
「それで…どうなちゃったの?」
「魔術師は死んだ。騎士長も息はあったが、瀕死の状態で、もう長くはなかった。急いで町まで戻って医者に見せようとしたが、騎士長が力を振り絞って答えたのだ。」
【大丈夫です…よ…姫…様…】
「そう答えたのだ。私は耳を疑った…。」
その時のナリアの顔は辛い過去に縛られている乙女の顔だった。
「ごめん…辛いならもうやめて。君が傷つくとこ見たくないよ。」
ナリアの顔は少し赤くなった。悲しみや後悔とは違う、何か胸を締め付ける、熱い何が大きくなった気がしていた。
「えっ…?、いっいや、ここまで話したのなら話すぞ。」
ナリアは少々動揺していたが、話し始めた。
「彼女はテレパシーでこう伝えた。」
【私の命はこの国の為に使われたのです。これ以上の幸せがありましょうか。あなた様の命を守れたのならば、なお幸せです。姫様、本来にあなた様に仕えた日々、幸せでした。お優しいあなた様ならば、必ず良い国の主に、大人の女性になれるはずです。】
「あなた、何を言っているのですか…?もっと私のお側にいてくださいませ!」
【私の懐に…銀の時計があります。我が家に伝わる時計でございます。王族に仕え、その時命を落としてしまった時に仲間や主人に渡すしきたりが我が家にはございます。私がその最初の死者になってしまいました。】
「そんな弱気なことを言わないでください!治せる医者を探しますから、どうか…」
【医者に診せても、魔術による損傷ですから、治ることはほとんどありませんから…】
「それでもです!私のそばにいて欲しいのです!。」
そう言っている間にも騎士長の体は消えていくのだった。ナリアももう間に合わないと感じ、騎士長の懐から銀の時計を抜き取った。
【姫様、ありがとうございます。その時計には私の思いが込められております。姫様が困った時、その時計を胸に当ててくだされば、私たちは少しの間だけ繋がることができます。もう時間のようです。この国に平和が訪れますように…】
いい終えると、彼女は光となり、消えていった。しばらくナリアはその場にへたりこみ、声を出せずに涙を流すばかりだった
「わかりました。あなたの思いは必ず私が実現して見せますから。」
そのときナリアは決意した。必ずこの国にあの頃の平和な、自由な生活を取り戻そうと、必ず騎士長の思いを実現させ、未練を断ち切ろうと。
その日から彼女は女であることを捨てた(恋愛感情以外は)。長かった髪もバッサリ切りおとした。
スキルを習得した後、自己流に磨きあげたり、剣術、学問にも励んだ。全てにおいて、国のトップクラスになったのはわずか14歳の頃だった。だが、一つだけいくら挑戦しても出来ないものがあった。魔術だった。
腕利きのバルド族の魔術師(国を支配しているのはギルダン族、バルド族は少数民族でギルダン族は国の至るところにいる)に指導を受けても、全くできなかった。
それが魔術が効かないためだと分かったのはある占い師から教えられたからだ。そのとき彼女は初めてカルナと出会うことになる。だがそれはまた別のお話…
「そんなことがあったんだね…ありがとね、話してくれて。」
「構わんよ。私の戒めにもなったからな。」
「そっ…そう…ならよかった…」
カルナは内心それは違うと感じていた。彼女は過去に縛られている。そう思った。
「ナリア…?あの…」
「しっ…何かが来る…」
地面が揺れ始め、どこからか何かが近付いて来ていた。揺れが激しくなった時、
「カルナ来い!!」
ナリアが叫んだ。二人は道から外れ、野原に走った。
「どうしたの?って、アァぁぁぁっっっ!!」
カルナは可愛い声で叫んだ。
叫んだのは、地面から巨大なゴーレムが現れたからだ。ゴーレムは約15メートルもあろうかという巨体が赤いレンガで出来ており普段は温厚で、人間の建築の手伝いや、自ら小屋になったりしている。
だがこのゴーレムは何が違うと二人は感じた。
そのとき、ゴーレムは左の手のひらから石のつぶてを飛ばしてきた。
「くっっ…」
「うわぁぁ!!!」
二人とも間一髪のところで回避したが、右の手のひらからまた飛ばそうとしている。
「そうか!あのゴーレム、目が赤いんだ!」
「そうか!だから様子がおかしいのだな。」
ゴーレムの目は普通青色でその目はこの国での優しさの象徴とされている。だが、このゴーレムの目は烈火の如く赤いのだ。
「スキルを使って眠らせる!」
カルナは剣に力を込め、水色の波動を剣から放った。
【春待つ蒲公英】
波動はゴーレムに直撃したが、効果は現れず、またつぶてを飛ばしてきた。
「うあっっ!」
カルナにつぶての一つが体にかすってしまった。
ナリアはつぶてを避けカルナに駆け寄った。
「おい!大丈夫か!」
「うん…かすっただけだよ…」
一旦二人は近くの岩影に身を隠した。ゴーレムは動きが遅かったため、見つからなかった。
「なぜあやつにはスキルが通じなかったのだろうか…」
トップクラスのナリアのスキルが通じなかったのは、確かに妙である。
「もしかして、誰かに操られてるのかもしれない…」「魔術師どもか…ならばつじつまが合うな。私たち反逆者を排除するためにゴーレムを操っているわけか。おまけに最大級のスキル耐性までつけたか。」
カルナはどうすれば良いのか分からずおどおどしていたが、ナリアにある考えが浮かんだ。
「カルナ、お前は逃げろ。ここは私が終わらせる。」
「えっ?!ダメだよ、僕だけなんか…」
ナリアはゴーレムを一人で倒すつもりだ。確かにナリアの剣術があれば、剣で真空波をゴーレムの体に当てれば相手は崩れていくだろう、だが、リスクが大きすぎる。
「なら二人で逃げようよ。
「ダメだ私たちをあいつは追って来るだろう。町にでもにげこめば、甚大な被害が及ぶ。それに…」
「それに?」
「お前を守るのも、私の務めだからな。」
ナリアは少し照れ臭そうに言った。
「なら、僕は残るよ!」
「なぜそうなる?!」
「だって、僕たち仲間でしょ!」
カルナは明るくいい放った。
(こいつも私を大切にしてくれるのだな。)
ナリアは忘れていた、カルナは仲間だ。共に過ごしていく友だ。ナリアの心から悩みはなくなった。
「よし、分かった。ならば残れ!そのかわりここから離れるなよ。」
「ありがとう!言うとおりにするよ。」
会話を終わらせると、ナリアは岩影から出てきた。
ゴーレムはまだナリアには気付いていないようだ。
その隙を突いて、ナリアは高く飛び上がり、剣から空気を圧縮させた真空波を放った。
真空波はゴーレムの背中にひびを入れた。
(よし、真空波は当たるようだ!)
ゴーレムの視界にナリアが映った瞬間にゴーレムは岩石砲を繰り出し、ナリアは真空波で迎え撃った。
真空波と岩石がぶつかった時、岩石は砕け散り、ナリアはその衝撃で吹き飛ばされ、岩石の破片が身体にぶつかってしまい、動けなくなってしまった。
「はぁ…はぁ…、なぜあれ程強くなっているのだ…」
ナリアが動けずにいると、ゴーレムはトドメをさそうと腕を伸ばしてきた。
「やっ…止めろ…!」
言葉も通じるはずもう無く、ゴーレムは手を伸ばして来る。
「私は…まだ…諦める訳にはいかんのだ…」
ナリアはそう感じながら、カルナの方を見た。
カルナの様子がおかしかった。身体からオーラのようなものが出ていて、呪文を…唱えているのだ。
【道売り商人の辻褄の合わぬ話における万物を貫く矛よ、万物を止める盾よ、力を示すこと無く消えていった達よ、その力をしばし我に与えたまえ。】
小さいながらも聞こえたのだ。
あれは、スキル、魔術、剣術、全てを凌駕する力、
【神術】
使えるのは、初代大王の三蔵様と、その側近のジパングのみ。
どこか異国の言葉を唱えているらしい。古い書物は、【ニホンゴ】という言語の一種と記されている。
なぜあやつが使えるのだ?
ゴーレムの手がナリアの体を掴もうとしたとき、
詠唱が終わった。それと同時にカルナは倒れた。
【神術 一並 矛盾】
その時、ナリア達の上空に黒い雲が発生した。その中から青色の光を放つ何かと、赤色の光を放つ何かが天から降りてきた。そして、それらはナリアのからだの中に入り込んだ。
何かが入り込んだ瞬間、ナリアの体の中から柄に龍の紋が刻まれ、刃に炎をまとった矛と、中心に金剛石を模した形をした青色の盾が現れ、ゴーレムはそれらの現れたときの風圧で吹き飛ばされた。
矛は左手に、盾は右手におさまり、ナリアは立ち上がった。
「なっ、何だ。この身体中疼く感覚は…」
ゴーレムは怯みながらも立ち上がり、拳を振りかざしてきた。ナリアはかわす力さえなく、右手の盾をかざした。
ゴーレムの手がナリアの盾にぶつかった瞬間、ゴーレムの手は弾け、消滅した。
ナリアは矛で真空波を放とうと矛を振りかざした。そうすると、龍の姿をした灼熱の炎がゴーレムの身体を包み込んだ。
「これは…さては…歴書にあった、神器なのか。」
ゴーレムの身体はみるみる灰になっていった。
「凄まじい力だ…」
ゴーレムの身体が燃え尽きると、ナリアはその場に倒れ込み、それと共に矛と盾は消えていった。
「……いじょうぶ…だいじょ…大丈夫?」
ナリアが目を開けると、カルナの顔があった。彼の艶やかな長い髪が顔にかかっている。
「あっ、やっと起きたんだね!良かった~…」
「ああ…すまんな…」
「回復の薬を少し持ってたから飲ませておいたんだ。どこかいたいところはない?」
確かに、傷はあるのだが、痛みはない。
「大丈夫だ。ありがとう。」
「良かった…生きててくれて…うっ、ううっ…」
カルナは感極まって泣き出した。
「泣かないでくれ…」
カルナは涙目でいった。
「だって、ナリアは僕を助けるために、町の人達が困らないように自分の命をかけてくれたんでしょ?もし、ナリアが負けて、ゴーレムに殺されてたら、僕がナリアを殺したことになる。大切な仲間が自分の命をかけて守ってくれたんだもん、泣かずにはいられないよ。」
ナリアは思った。こいつ以上に人への信頼と人情が厚い人間はいないと。
「そうか。そうだったんだな。お前が無事でいてくれたのなら、被害が起こってないのなら、それでいい。」
「ホントに…ホントに…ありがとう…」
カルナはナリアの膝に泣きついた。ナリアは一瞬驚いたが、すぐに気を取り直し、頭を撫でてやった。
かつてナリアの母がナリアにしていた時のように。
互いになぜだかわからないが、とても幸せな時間だと感じていた。互いのぬくもり、身体を撫でるそよ風、昼下がりの穏やかな日差しが二人を包んでいた。
カルナは気がつくと慌ててナリアから離れた。
「ごっ、ごめんね。急に泣きついちゃって…恥ずかしい…」
カルナは頬を赤らめていった。
(またこの胸を締め付けるような感覚だ。一体なんだというのだ!)
ナリアは表情にでないようにこれを必死に隠そうとしていた。
「あっ、ああ。いいんだ。お前が落ち着いたのならそれで…」
苦しみながらもナリアは答えた。
「そっ、そう?ありがと!」
これを世に言う【可愛い】と言うものなのか?
あまりにも苦しすぎたので、ナリアは話を変えようとした。
(そうだ、あの神術…)
「なあ、カルナ、なぜ神術が使えるの…」
「おおっと、あんたらかいこのゴーレムを倒したのは。」
ナリアが問いかけている最中に何者かが道の方からやって来た。
「ほぉー、国内最強クラスの騎士兼王女に魔術の効かねーボウズか。」
声からして男だろう。アンデッドや悪魔から感じる邪気を大量に放っている。
「僕の事、【ボウズ】って、言ってくれた?ねぇ、今僕の事、【ボウズ】って!」
カルナは男として見られたのが嬉しかったようだ。
「なぜ我らを知っている?貴様、名乗れ!」
「俺か?おらぁー……」
二人の前に現れた謎の男は一体?カルナの秘密、神術の秘密とは…
二章に続く…
能力·道具解説
スキルとは
魔術には劣るものの対人、対魔相手に有効に使える戦術。
微弱な魔力を持つ小物と優れた運動能力、体力、技能が必要。使用すると体力をかなり消費する。敵を翻弄したり、高速で動く時、不意打ちなどに使用される。使用者は微弱な魔力を持つ小物を常備している。主な物は力が弱く、並みの人間や並みのモンスター、したっぱの魔術師以外は一撃で倒すのは難しい。
剣術とは
どんな相手にでも使用可能な戦術。体力、筋力、技能が必要。真空波を起こして使用したり魔術と組み合わせて使用することもできる。使いやすい反面回避されやすい。
魔術とは
どんな相手にでも使用可能な戦術。技能、血の質、体力が必要。相手を呪う、縛るなどの拘束魔術や、火、水、土などで攻撃魔術、回復魔術などがある。
血の質が一番重要で、魔術に適合しない血を持つものは魔術が使えない。この国の一般の人々の約40パーセントは使用できる。だがうち5パーセントしか強力な魔術は使えない。
神術とは
剣術、魔術、スキルなどの戦術全てを凌駕する力。
【ニホンゴ】を呪文としており、それぞれの詠唱は術の名前の由来となった逸話である。
最強の矛 【龍牙】とは
【神術 一並 矛盾】によって現れる矛である。赤い柄に龍の紋が刻まれ、刃に灼熱の炎をまとっている。
全ての物を貫き、全ての物を切り裂く。
刃の炎は有機物、無機物関係なく焼失させる。
だが、対になって現れる盾、【金剛鏡】にぶつけると刃が割れてしまう。
最強の盾 【金剛鏡】とは
【神術 一並 矛盾】によって現れる盾である。金色で型どられ、瑠璃色の石をはめ込まれた紺碧の盾は金剛石(ダイアモンド)の形になっている。あらゆる攻撃を防御できる。盾から放出される光で相手の目をくらませることも可能。対になって現れる矛 【龍牙】にぶつけると、表面から割れていく。
最初のコメントを投稿しよう!