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ー生い立ちー
「風呂入りたいんだけど‥」
「無理じゃないか?」
「でも…」
「俺でよければ洗ってやるよ?」
「……………」
「けが人なんだぞ?」
「そうだけど…」
「心配すんな、襲ったりなんてしないから」
「当たり前だ!!」
「脱げるか?」
「ああ。なんとか…」
「結構傷が深いから、染みるかもしれないぞ?」
「うっ…痛って‥ くっそ!」
「無理すんな?俺が洗ってやるから」
「ああ、悪いな‥」
家族が出来たようで何だか嬉しかった
少なくとも傷が治るまで、一人じゃない
あんなだだっ広い屋敷に、独りで居たくなかったから
俺が高校を卒業する頃、両親と妹は亡くなった
社長をしていた父親は海外赴任が多くて、両親と共に幼い妹と海外を転々としていた
ちょうどその日は、俺の卒業式に出席する為に飛行機に乗っていた
まさか、墜落するとは思いもしなかった……
結局、遺体も見つからないまま、捜査打ち切りとなってしまった
あの日から5年が過ぎた
十分な遺産があったから、まともな職にも就かず、毎日飲んだくれては、寂しさを埋めるように女を抱いていた
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