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暫く隣で仕事するユノをボーッと眺めてた
「・・そろそろお腹すかないか?」
「そう言えば・・」
「なんか食うか?・・その身体じゃ、外では食えないよな・・でも、あいにくうちにはカップ麺くらいしかないけどな・・」
「・・ユノはいつもそんなのばっか食ってんのか?」
「ああ・・」
「それじゃ身体壊すぞ?」
「そんな事言ったって、俺作れないんだから仕方ないだろ?」
「・・・・・俺、作ろうか?」
「え・・・?お前、料理出来んのか?」
「一応な、俺一人暮らし長かったから」
「でも、流石にけが人にそんな事させられないよ・・」
「材料さえあれば・・作るよ?・・助けてくれたお礼」
「マジで?!」
「ああ。冷蔵庫は?」
「あるけど、飲み物くらいしか入ってないぞ?」
「ちょっと見せて?」
「ああ」
「・・・確かに。」
食材は空っぽ、調味料はいくつか入ってたけど、みな賞味期限が過ぎてるものばっかだった
「一から買い直しか・・・」
「だろうな・・その調味料達は前の恋人が残していったもんだ。何だか捨てるに捨てられなくてな・・」
「使えない物取っといてもしょうがないだろ? ・・捨てるぞ?」
「ああ、好きにしてくれ」
「何か食べたいモノあるか?」
「何でも・・手料理なんて久しく食ってないからな・・」
「チゲでもいいか?」
「ああ、大好物だ」
キッチンの戸棚を開けると、調理道具は一式揃っていた
きっと、前の恋人が残していったものだろう・・
メモパッドに材料を書き込むとユノに託した
「これ買ってきてくれるか?」
「わかった。俺が帰ってくるまで横になってろ・・」
「ああ」
ユノが出て行ってから、悪いとは思いつつも部屋を見て回った
そして偶然、PCデスクに伏せられた写真立てが目に留まった
そっと持ち上げるとそこに映ってたのは・・
(家族写真??)
父と母、ユノと・・妹といったところだろうか?
ふと、自分の家族を思いだした
俺の父親は厳しい人だった。でも愛情に溢れた父親だった・・どんなに忙しくても、家族を一番に優先していた。
高校に上がるとき、俺だけが故郷に帰ってきたが、それでも学校の行事には両親揃って出席してくれた
寂しくてもグレなかったのは、愛情あふれる両親が居たからだろう・・
懐かしくって、自然と涙が頬を伝った
妹も、生きていれば今年10歳か・・可愛かっただろうな
でも、なんでユノは・・
その時、玄関が開く音が聞こえた
俺は涙を袖口で拭いキッチンに急いだ
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