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すでに行列になっているレジに、カゴひとつ持たず並んでいる紳士がいた。
「あの中井さんのを頂けますかな?」
常連なのだろうか?
その生産者を知っているかのような口ぶりで、
ワンブロック何千万とする肉を注文した。
「支払いはいつもので」
チラッとしか見えなかったが、限度額無しのブラックカードのように見えた。
紳士は肉を受け取ると、礼儀正しく一礼をして人ごみの中へ消えた。
自分がカゴに入れた肉が、不意に安っぽく見えた。
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