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足しげく店に通ううちに、店員に顔を覚えてもらうまでになった。
だが、やはりあの一角の商品だけは買えなかった。
あんなに高額なのに売り切れていることの方が多いのだ。
思い切ってあの超高級肉の切れ端、いや、
商品にならないような部位でもいいから売ってもらえないか交渉した。
店員はどうしても首を縦には振らなかった。
貧乏人には売れないと言う事か。
ならば方法を変えて、購入した人の方に頼んでみることにした。
極小さなブロックでもいいのだ。
それくらいなら数万、いや高くても十数万あれば手を打つだろう。
あの肉を購入するような人はまず居ない。
1度だけ見たあの紳士が来るのを待ち、ついにその日を迎えた。
紳士は、口外しないことと、
こちらから引き取りに出向くということを条件に、
自宅に残っている部位なら譲ってもいいと承諾した。
無性に心が踊った。
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