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麓からは何時間もかけなければならない
山奥の辺鄙な場所に不意に現れたその建物は、
別荘と言うよりも異様な雰囲気を放つ屋敷だった。
広大な門に出迎えられ、自分の場違いな要求を少し恥じたが、
金は要らないという申し出と、
どこから沸き上がってくるのか、
その食欲を満たすためだけの欲望が、なぜか抑えられなかった。
奥へ進むと、例の紳士が玄関口で迎えた。
すでに調理したものがあるという誘いに、躊躇することなく乗った。
所詮は金持ちの道楽なのだ。
貧しいものに施して、自尊心を満たしているだけなのだ。
そう思えば、この待遇も悪いものではないと思えてきた。
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