はじめまして

13/13
前へ
/172ページ
次へ
「……ホント、に?」 涙が溢れて止まらない。 清四郎の言葉が胸の奥に染みて、隠さなきゃと押し殺していた想いが競り上がってくる。 「ああ。おまえが好きだ」 柔らかい眼差しが降ってくる。 浮かんだ涙を清四郎の指先がそっと拭った。 その指がわたしの頬に触れた。 「………好き、って、……言っていいの?」 ずっと一緒にいるものだと思ってたの。 だけど、清四郎には好きな人がいるって聞いて、……わたしだけがそんな想いを抱えてたんだってショックだった。 だけど、清四郎の恋を応援してあげたくて…… わたし、好きって言っていいの? 清四郎のそばにいていいの? 「当たり前だろ。おまえじゃなきゃダメなんだ。今までもこれからも俺の隣にいるのは、朋実、おまえだけだ」 低くだけど甘さを含む声。 清四郎の指がわたしのくちびるに触れた。 「わたしも、……好き。清四郎が、好き」 瞬間に、清四郎のくちびるが重なった。 息ができないほどの想いが流れ込んでくる。 「やっと、おまえを……つかまえた」 わたしの初めては全部、目の前の清四郎に━━━ 完
/172ページ

最初のコメントを投稿しよう!

105人が本棚に入れています
本棚に追加