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「……ホント、に?」
涙が溢れて止まらない。
清四郎の言葉が胸の奥に染みて、隠さなきゃと押し殺していた想いが競り上がってくる。
「ああ。おまえが好きだ」
柔らかい眼差しが降ってくる。
浮かんだ涙を清四郎の指先がそっと拭った。
その指がわたしの頬に触れた。
「………好き、って、……言っていいの?」
ずっと一緒にいるものだと思ってたの。
だけど、清四郎には好きな人がいるって聞いて、……わたしだけがそんな想いを抱えてたんだってショックだった。
だけど、清四郎の恋を応援してあげたくて……
わたし、好きって言っていいの?
清四郎のそばにいていいの?
「当たり前だろ。おまえじゃなきゃダメなんだ。今までもこれからも俺の隣にいるのは、朋実、おまえだけだ」
低くだけど甘さを含む声。
清四郎の指がわたしのくちびるに触れた。
「わたしも、……好き。清四郎が、好き」
瞬間に、清四郎のくちびるが重なった。
息ができないほどの想いが流れ込んでくる。
「やっと、おまえを……つかまえた」
わたしの初めては全部、目の前の清四郎に━━━
完
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