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「・・・俺は最高の死に方をした。君が望むような形で一人でひっそりとこの場所でね。自殺しようと思った理由はさ、俺、ちょっと人より空気読めない奴だったみたいで職場で皆からちょっと疎まれてさ。きっと此奴消えてくれないかなあとか思ってたんだろうね。あるとき、仕事の大きなミスをさ、俺は全く担当していないのに押し付けられて、本当とんでもないことになって新聞やニュースにもあがるようなレベル物でさ。いつでもどこでも俺は罵倒され続けて、死にたくなってここで死んだ。」
・・・信じられなかった。麦野さんはここに来た時から優しくて、ちょっと話を聞かない部分もあるけどそれでもそんなミスを押し付けられるような人には見えなかった。どちらかと言うと僕と逆の人気者の立場の人かと思っていたぐらいだ。
「・・・死んでもう楽になれるって思った。俺が生きているだけで家族が一番苦しんでいたと思うし。けど違った。ずっと家族は俺のことを信じてくれていて、警察の調べが何か月も続いて俺が死んでからこのミスは俺じゃなく別の奴だと証明されたときに壊れるくらい泣き続け、俺の後を追うように両親は死んでしまった。・・・その時、取り返しのつかないことしてしまったと思ったよ。なんで死を選んだんだろうって。なんで戦わず新で逃げてしまったのだろうって。そしたらあの人たちはあんな悲しい気持ちで死ぬことはなかったのにって。」
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