失恋

15/25
前へ
/174ページ
次へ
「いえ、それは全然・・・。 あの、藤崎さん。オレでよければ本当にいつでも・・・。」 佐藤くんが何かを言いかけたとき、先生チームのテーブルから、「佐藤、ちょっと来い」という島村さんの声が響いた。 「すいません、ちょっと行ってきます。」 「うん。」 私はそれを特に気にも留めず、目の前にある枝豆をつまみだす。 すると、聞き耳を立てていたわけではないし、距離も結構離れているのに、「藤崎さんは西村先生の・・・」という会話の部分だけ、なぜか私の耳に届いてしまった。 「・・・そうなんですか。わかりました。」 最後に、そう答えた佐藤くんの声が聞こえた。 「藤崎さんは西村先生の彼女なんだ」と言って、あまり親しくするな、とか、そんなような内容のことを言われたのかもしれない。 (やだな・・・。) もう、彼女じゃないのに。
/174ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2569人が本棚に入れています
本棚に追加