それから。

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周囲にひと気がなくなってから、私は彼に声をかける。 「じゃあ、私こっちだから。」 そう言って、私は右手で南をさした。 「はい、おつかれさまです。」 佐藤くんは礼儀正しく挨拶してから、私の耳元に唇を寄せる。 「じゃあ、夜、待ってるから。」 「!!」 少しだけ、耳にやわらかな感触がした。 ダメだと言わなきゃ、そう思うのに、私の唇は動かない。 家に行く約束も、言い出したのは私なのに。 彼が口にすると、それはどこまでも特別に聞こえる。 胸の中に、ふわりと艶やかな花が開いた。 香り立つように、甘い時間に誘われる。 「わかった?」 「・・・うん!」 見つめられ、もう一度囁かれた問いかけに、私は笑顔でうなづいた。 END ☆    ☆    ☆    ☆    ☆    ☆    ☆   ☆ 「恋するリスク」をお読みいただき、どうもありがとうございました!!
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