2558人が本棚に入れています
本棚に追加
/174ページ
(・・・なんか、ムカつく・・・。)
多分この人は、自分がいちばんかっこよく見える術を知っている。
そして、それがきちんとはまっているだけに、なんだかとても腹立たしい。
「乗って。」
「・・・いえ。断りに来たので。」
「はは。想像以上にガード固いなー。じゃ、無理矢理にでも連れてくわ。」
そう言って車から降りると、私の腕を引っ張り、そのまま助手席へと押し込んだ。
「え!?ちょっ・・・!きゃっ!!」
それからはとにかく、強引に口説かれ続ける毎日で。
オレ様で偉そうだし、初めはイヤだと思っていた。
けれど、実はものすごく努力家だったり、面倒見がいいことに気づいたり。
時々見せるやさしさや、なにより・・・ふとしたときに囁く甘い声。
ただでさえ外見はかっこいいのだ。
毎日毎日、あの顔であの声であの言葉で口説かれ続けたら、好きにならないほうが無理だと、私は思う。
そして、恋人同士になって2年。
お互いに年齢も年齢だし、そろそろ結婚の話が出るかもなんて、秘かに期待したりもしていたのに。
最初のコメントを投稿しよう!