特別な日常

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料理もできない、椅子に座るのも助けてもらってる。 それなのに言葉や、色や魔法まで教えてもらって。 こっちの世界の一般知識をかけらも持ち合わせてない3歳の子供に衣食住に学まで与えてくれて。 たくさん迷惑かけているのになんでそんなにソラは暖かいんだろう。 「俺が嘘つくと思うか?」 「、、、この間海の本読んだ時に海がしょっぱいのお魚の涙って言ったもん。。、違ったもん。」 ソラは一瞬しまったという顔をしたが、すぐに穏やかな笑顔になって真を抱きあげ膝に乗せた。 「あれは冗談って言うんだ。お前はその年齢ではできないこともできてる。勉強だって飲み込みがはやいし、魔法だってそのうちマスターできる。そんなお前の成長を見るのが今の俺の生きがいだ。」 そう言うと、少し潤んでいる真の目を撫でさらに続けた。 「例えどんなにすごい人間でも一人でいると全てを失ったように、心が欠けるんだ。俺もそうだった。その欠けた部分をお前が埋めてくれたんだ。だから今はたくさん迷惑をかけてくれ。で、あのひまわりくらい大きくなったら俺のことを助けてくれ。所詮俺は老いぼれだからな。」 そう言うとソラは膝に真を乗せたままおにぎりを食べはじめた。
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