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ふわふわあたたかい。
綿菓子に包まれている甘い幸せな感覚。
「意識が復活したようだね。」
耳に入ってくる心地よい低音。
「だ、だれですか?」
ぼくは病院にいたはずなのに。
ここはどこだろう。
「ふふっ、、目をあけてごらん?」
誰だかわからない声がそう言った。
「すいません。ぼくは生まれつき目が見えなくて」
生まれてから何回この言葉を発しただろう。
目をあけても強い光くらいしか判断できない。
ふと目に暖かいものが当たり思わずのけぞってしまう。
「知ってるよ。天笠 真 アマカサ シン 君。ほら、私を信じて目をあけてごらん?」
優しいけど芯のある言葉。
そっとあけたぼくの目に入ってきたものは
金、だった。
虹色にも見える美しい金色の瞳。
知識でしか『色』なんてわからないはずの僕だけど、この色はこの世のものとは思えないほど美しいと感じた。
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