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〜再会〜
(JJ side)
ユノと別れてから、僕は逃げるようにこの国を出た
俺のことを知らない、そんな国に行きたかったから…
ここに居てはいけない、
僕の本能がそうさせた…
この国にいたら、ユノの事も思い出してしまうし、クラスメイトにされた酷い仕打ちを思い出してしまうから‥
でも、大好きなユノはどこまでも優しかった
それでも、僕たちは子どもで、何にもできなかった‥
「こんなに愛してるのに‥ごめん‥俺、ジェジュンを守ってあげる事が出来ない…」
そう言って、ユノは自分の無力さを嘆いていた…
僕はユノを自由にしてあげなきゃいけない‥そう思った。
何度も話し合って、解ってくれるまで時間はかかったが‥納得させた
そして、約束したんだ
「今より、ずっと大人になって…お前を守れるような男になりたい」
「うん‥ユノ、ありがと‥その気持ちだけで、僕は生きていける‥」
「ジェジュン…」
「ユノ…」
「10年後、お互いにパートナーが居なかったら、俺たちまた付き合おう‥?」
ユノはそう言って笑ってくれた
ユノはあの約束、まだ覚えてるかな‥?
僕は単身でパリへ渡り、バイトで食いつなぎながらも、ショコラティエの勉強をした
ユノが「美味しい!」って食べてくれたチョコレート、その笑顔が忘れられなかったから‥
いつかまた、僕が作ったチョコレートを食べてもらいたいな…なんて淡い期待を胸に抱いて、頑張った
最近ではそんな僕も、時折店を任されるようになった
「今度、韓国に進出しようと思ってる。その前に、手応えを得る為にデパートに期間限定で出店してみようと思う」
そう、ボスに言われたのは3ヶ月前。まだ、世間はクリスマスで華やぐ時期だった
「韓国人の好みに合うショコラを、作ってみてくれ」
そう言われ、いくつかのショコラを、寝る暇も惜しんで作り上げた。
どうせ、恋人も居なかったし…カップルで、溢れる街を見ずに済んだのは幸いだった
いよいよ、韓国上陸の日
久々だな…
忙しく働いていたから、韓国にくるのはおおよそ10年ぶり
時折、両親が来てくれたが、僕からこの地に来ることはなかった
僕の作り上げたショコラは、某有名デパートに置かれる事になる
帰国後すぐに、そのデパートのバイヤーと社長に会いに行った
フロントに出向き
「スミマセン‥YJショコラのキム・ジェジュンですが、社長室は何処ですか?」
「あ、お待ちしておりました…只今、案内の者が来ますので、お掛けしてお待ちください」
待つこと10分
「お待たせしました、社長秘書のチョン・ユンホです‥社長室にご案内致します」
その聞き覚えのある声に顔をあげると‥
うそ‥
「ユ‥ノ…」
「ジェジュン…」
暫くお互い見つめ合ってしまった
「案内する…」
お互いなにも聞けず、社長室へと連れて行かれた
社長やバイヤーと打ち合わせをして、持って行った試食用のショコラを渡した
思いのほか評判は上々で、何とか打ち合わせを終わらせた
でも、僕の頭の中はユノの事でいっぱいだった
会いたい気持ちを封印して、仕事に打ち込んだから、神様からのご褒美なのかもしれない‥
それとも夢?
僕の心は一気に10年前に押し戻された
あんなに恋い焦がれてたユノ…
いざとなったら言葉にもならない
でも‥
あれから10年たった‥きっとユノには新しいパートナーがいるはず‥
あんな約束も、覚えてるはずなんてない‥
僕は、そそくさと社長室を後にした
「おい‥ジェジュン!‥待てよ…」
「…なに?」
「何じゃないだろ?」
「これ、俺のアドレスと住所‥仕事8時に終わらせるから‥9時頃来てくれ」
そう言って、あっという間に去って行った
「ユノ‥//」
立ち去るユノの後ろ姿に、暫く見とれていた…
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