どゆこと?

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「功祐でこうって、在り来りじゃないか?」 「変な名前で呼ばれるより反応しやすいんだ。」 「そんなもんか。」 バッタンバッタン 香里奈がうんうんと頷く。 高級車の乗客は3人。香里奈は後部座席でゆったりと足を組んで運転席に座るドルタに話しかけている。 「香里奈は、顔が売れてて潜入出来ないから分からない。」 「悪かったな。」 ギッシンギッシン ドルタが香里奈に呆れたように言うので、香里奈は長い足を組んで後ろの席からドルタの座っている席を蹴る。 「それより、多分ニアの方はハズレだな。」 「.....そうか。」 ガッタンガッタン ドルタを見ながらため息をつく香里奈。呆れたような顔にドルタは後ろのミラーを見ないように違う方を向く。 「はぁ、心配なら心配と言えばいいものを」 「っ、俺は」 「なら、ニアをいいと言っているいいとこのおじいがいるんだが」 「それはダメだ!」 ゴットンバッタン 間を開けずに言ってくるドルタに、香里奈はまたため息を着く。その反応にドルタは気まずそうにするが、香里奈は頭を抱えて首を振る。 「ドルタ。私は前から言っているだろ。お前が誰と結婚しようが付き合おうが私の知ったことでは無い。ただ」 「不利益をもたらさなければいい。」 「そうだ。」 ガッツンドッスン 香里奈が頷くと、組んでいた足を下ろして足元にあるものを踏む。 「でも、俺は、」 「ドルタ。私はお前がダメになったら切る。そのぐらいの決断力は持っている。」 んーんーんーんー!!!! お前1人ダメになったところでどうとでもなる。と遠回しに言ってくる香里奈にドルタが目線を伏せる。 「んー!!!んんんーー!!!!」 「さっきからうるさい!」 香里奈が足元にある物を踏む。いや、者だ。 それは、全身を縄で巻かれ、口元にガムテープを貼られ、さっきからバッタンゴットンギッシンと体を動かしていたジャックだ。 ゲジ!と香里奈に足を蹴られるが、それに反抗するようにさらに叫んで暴れる。 香里奈はため息をつくと、口元にあるガムテープを無理やりベリっ!と剥がす。 「いっ!っ!てめぇ香里奈!!功祐は巻き込まねぇって!」 「巻き込んだのは兄だ。文句ならあれに言え。」 話は終わりだとばかりに香里奈はまたジャックの口にガムテープを付ける。 ガッツンバッタン 「別にニアならいいと思うぞ。互いに育ちを気にするような家族は居ないし、なんなら私が戸籍を用意してやろう。」 「でも、」 ニアが.....と、大きな体を小さくさせて悩むドルタに香里奈はイラッとしたように眉を寄せる。 バッシンドッシン 「はぁ、ニアにも悪くない条件で娘にしたいと言ってきているんだ。ニアに話したら前向きに検討するそうだ。」 「なっ!あのことは言わないって!」 「3日はな。」 またいつものように、知らないところで知らない条件が付け加えられていた事にドルタは頭を抱える。ニアの話が持ちかけられてもう既に8日は経っている。気のいい御仁だから待ってくれているが、他の奴らなら無理やりニアを連れて行ってもおかしくない。 ガッタンガッタン 「その方は、どんな方なんだ?」 「本当に気のいい御仁だ。奥さんのことは愛しているし、跡継ぎの息子はもうすでにいる。酷い趣味は無いし、これとない好条件だ。」 ドルタがいつも以上に気弱に眉を寄せる。 ゲシ!ゲシ!ゲシ! 「痛ったいなぁもう!!次はなに!?」 足を蹴られていた香里奈がジャックの口に着いているガムテープを剥がす。 「俺も行かせろ!」 「つい30分前に説明しただろ。顔が割れているやつが何言ってんの。」 はい、終わり。と言って香里奈がジャックの口にガムテープを貼り付ける。次は、エビのように全身を前後に動かして暴れるが、椅子の上に足を上げてしまった香里奈には届かない。 んーんんんん!!!! 「香里奈。ニアから連絡。」 「繋げ。」 ピーと音がなり、ひとつのボタンを押すと、機械からニアの声が聞こえてくる。 ふーんんーーー!!! 「男がこいつの他に2人。1人はマスターと仲のいい感じで1人は落ち着きがない。以上。」 ブチッと切られた回線に、香里奈がフムと頷く。 むーー!!んんふー!!! 「意外とニアは潜入捜査とかに向いてるかもな。」 「.....あぁ。.....いや!ダメだ!危険だ!」 「うっさいわボケ。」 はっ!としたように叫ぶドルタに香里奈が頭を叩く。 むーーー!!んふんんふー!!!! 「はいはいなんて?」 めんどくさい。と全力で顔に書きながら香里奈がジャックのガムテープを取る。だいぶ粘着力が無くなってきた。 「紐を!外せ!」 「却下。何する気だ。」 「乗り込む!」 「死ね。」 ベシ!とガムテープを口に貼ると、香里奈は頭を抱える。 「なぁ、香里奈」 「んんんんふー!!!」 「はぁ、馬鹿しか居ないのかここは。」 もう一度足元に転がるジャックと、前の座席に座るドルタの椅子を蹴ると、香里奈は椅子の背もたれを倒す。 ———————————————————— なんか、体が..... 少しだけ頭がボーとするような感じを感じながら店を出る。サルジと名乗った男は紳士な様子で俺をエスコートする。 「ホテルで、いい?」 「ん、んぅ?」 サルジの言葉が頭を巡り、首を傾げる。 「はっ、最っ高。」 仮面が剥がれたかのような笑みを浮かべながら、サルジが舌なめずりをする。こうはそれでも首を傾げ、疲れた。と言ってその場に座り込む。 「ん〜、疲れた.....」 「ここで座ったら汚い。ほら、」 そう言って差し出してきたサルジの腕に手を伸ばすと、体が引かれ軽々と抱かれる。ん、やっぱりジャックより体が薄くて安定感がないな。ふむふむ、やっぱり安定感ならジャックか。なんて考えていると、直ぐに曲がった路地の箱の上に下ろされる。 「ん、なに?」 「熱い?」 「ん、ぅん。」 熱い。と言ってブカブカの服をお腹を出すように上げる。それだけでサルジの喉がゴクリと鳴る。 「手伝おうか?」 腕にするりとサルジの手が絡んでくる。 「やっ!」 「なんで?」 「だめ。」 目じりに涙を浮かべながらサルジを押す。サルジは困ったように顔を覗きこんで来るが、その表情の裏には欲望が抑えきれないというのが見えている。 「ねぇ、こう?」 「だって、ジャックも.....」 「そっか.....」 あ、無意識に出たわ。ごめんジャック。と内心思いながらサルジを強く押すと、サルジが俺の目の前にケースを見せてくる。 「それ、なに?」 「何でも忘れられる。いいお薬だよ。」 錠剤なのか、サルジがカラカラと音を立てて揺らす。 「だ、め。そんなこと、したら、ジャックが帰って、来ないもん。」 フルフルと頭を振ると、頬にサルジの手が添えられる。うん、手もジャックの方がでかくてごついな。 「大丈夫。これ、とっても綺麗になるから。」 「ほん、と?」 「あぁ。」 ニッコリとサルジが笑い舌を出す。その上には、白い錠剤が乗せられている。 サルジの顔が近づき、唇が重なる。 我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢。手に拳を握り締める。 口の中に錠剤が乗る。すると、サルジがゆっくりと唇を離す。閉じていた目を開けると、薄く微笑んだサルジがいい位置まで顔を離している。 「じゃすとおぉぉぉお!!!」 「ぐはっ!」 思いっきりサルジの顔面をぶん殴る。綺麗に吹っ飛んだサルジの手から、先程見せてきたケースを奪い取って走る。 ポケットに入れているスマホを取り出し、音量ボタンを3回連打する。そうすると、香里奈に合図が出る仕組みになっている。 「っぁ!」 グワリと目眩が目の前を歪ませる。あいつ!なんか入れやがった! 慌てて後ろを見ると、サルジが殴った頬を撫でながらこちらに歩いてくる。っ、逃げ、なきゃ 壁に手を付きながら歩くが、先程から目眩が酷い。このままじゃ捕まる。懸命に足を動かすが、全く進んでいる気がしない。嫌な予感が全身に走る。 「ははっ!最高かよお前!!俺こういうの大好きなんだよぉぉお!!!」 「ひっ!」 むちゃくちゃ怖い形相と、叫び声に無意識に声が出る。いや、怖い怖い怖い。どんぐらいかって?よく映画とかで出てくる幽霊の覚醒を見てるみたいな。とりあえず、顔やべぇ。 「でもさぁ、その効果結構早く出てくるはずなんだけど、なんで君はこんなにかかったのかなぁ?」 知らねぇよ!動かなかったからとかじゃねーの!?お前が分かんねぇのに俺が知るか!と心の中で毒づきながら懸命に手足を動かす。 「あはっ、お前、もしかして、けいぐはっ!」 なんか言っていたサルジの声が止まる。香里奈かドルタかジャックか、いや、多分この3人の中ならジャックが有力候補だ。間に合った。と思いため息をつくが、いつまで経っても後ろから声が聞こえない。 ん?と思い後ろを見る。 グワリと目が見開く。サルジに追い込まれたときとは比較にならないほど全身から血の気が失せて冷や汗が出る。まて、待て待て待て待て待て。なんで、なんでお前が、いや、有り得はする。でも、なんでお前が、今ここに、 ゴクリと唾を飲む。 「お前は.....」
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