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え、やばくね?俺詰んだ?
知りもしない街で俺1人取り残されて、ポツンとぼっちになる。
とりあえず充電、いや、金がない。
いや、ひとまずここを離れて.....
目の前に高級車が滑り込んでくる。
ランボルギーニの高級車で、車を全く知らない俺でも一目で最高級と分かるような作りをしている。
オープンカーに乗って運転しているのはさっきまで話していたアイツ。
ジャック・ヴァン・マシューズだ。
ヒクッと口の端がひきつるのが分かる。
高級すぎる車もそうだし、何より登場が派手だ。サングラスにオープンカー、そしてそれが似合っているのにめちゃくそムカつく。
カチャン、と音を出て内側からドアが開かれる。もちろん高級車の登場と、その乗っている人物のせいで歩行者の視線をいっぱいっぱいに集めいている。
「乗れよ」
「えんりょ.....」
「足ねーだろ?」
見透かされていることにチッと舌打ちをすると車体の低いそれに乗り込む。
ブウォォンと音を立てて車が走り始める。
見た目にたがわず素晴らしい速さで走り出すそれに、高級車に乗った感動よりも嫌すぎて膝に肘を着いて頭を抱える。
「んな感動すんなよ」
「してねぇよ!くそ、スマホの充電さえ持てばてめぇなんかの車に.....」
「あ?もうきれたのか?あぁ、昨日のの夜で10パーきったもんな」
「あぁ、そうだよ、だから充電が.....っては?なんで俺のスマホの充電知ってんだよ」
「ふっ、いいから充電しろ」
鼻で笑われてイラッときたが大人しくスマホを充電に繋ぐ。
見た目にたがわぬ素晴らしいスピードの車は、あっという間にビル街を抜け、少しずつ住宅街に入っていく。
「そういえば、どこ向かってんだ?」
「あ?お前の家に決まってんだろ」
「.....お前に教えた覚えがねぇ」
どうゆう事だ、ということで睨むと、ジャックは楽しそうに笑う。
嫌な予感しかしねぇ。
「知りたいか?」
「いや、いい」
「遠慮すんな」
「チッ」
楽しそうに笑うジャックに、いやいやながらジャックの手元のスマホを見る。
........//////!!!!!
「てめぇ!な、それ!」
そこのスマホに写っている俺は、ジャックの部屋のベッドの上でパーカー1枚で寝っ転がっているものだった。
「いい写真だろ?」
「ふざけんな!貸せ!消してやる!」
「ははっ、あぶねって。」
ジャックに掴みかかるが、ジャックがハンドルを切り、グラン!とゆらされる。
「いてっ!」
揺さぶられたことで俺の方の扉に頭をぶつけて蹲る。
なかなか痛すぎてやべぇ。
いってぇ、とうずくまっていると、嫌な声がスマホから聞こえる。
「はっん、うん、あぁん」
微かに漏れる喘ぎ声と、肉と肉がぶつかり合う音が聞こえてくる。
恐る恐る顔を上げると、ジャックは楽しそうに笑いながら右手でハンドルを持ち、左手でスマホを俺の方に見せていた。
そして、そのスマホの画面に移るのは、裸の俺で、ガッツリケツに何かが刺さっている。
いや、刺さっているのは分かるが認めたくはない、認めたら負けだ、認める訳には行かない。
もう一度頭を抱える。
『パスワードは?』
「.....は?」
スマホの中から聞こえてきたジャックの声に、驚いてまたスマホの画面を見る。
『ぱす、わー、ど?』
『あぁ、これのパスワード。』
俺の声と、ジャックの声が聞こえる。
スマホの画面の端に、俺のスマホが写っている。ジャックはそのまま持っている俺のスマホを俺の腹の上に置くと、パスワードを入れる画面のまま止めている。
『いや、だ』
ふるふると頭を振って否定を現す俺に、よくやった俺!と何故か画面の中の俺を褒める。
『ふーん』
と、ジャックの声が聞こえると、ジャックの腕が映り込む。
え、えぇぇぇー!?!?
ジャックの腕はそのまま俺の胸元に行き、俺の胸の突起をギュッと摘む。
『ひゃあ、いっ、いらい!』
ゾッとして無意識に俺の胸を守る。
その様子が面白かったのか、ジャックはくすくすと笑う。
『パスワード』
『い、いや、あっいっ!』
二度目の突起ギュッ!にさらにひっ!と自分が反応してしまう。
されてるのは自分じゃないのに、いや、自分だけど!
『パスワード』
『ひっ、ぜ、ぜろ、ご、にい、きゅー』
微かにカメラ、ジャックを睨みながら画面の中の俺が答えると、ジャックはいい子、というように近づいて額にキスをし、頭を撫でる。
何しんでんだよこいつ、とジャックを見ると、むっちゃ楽しそうに俺の方を見る。
おし、戦争か、冷戦か、うけてたとう。
ジャックに殺気を向けていると、画面では俺のスマホのパスワードが解除された。
『なかなか友達いるんだな』
『ひうっ、も、むり、うごく、ひぃゃぁ!』
ジャックが腰を動かし、それに対抗するように俺が逃げようとするが、全然逃げれてない。
その間にもスマホは通信アプリを開き、友達欄を見ている。
『なぁ、リリーって誰?』
『り、リリー?』
『そ、彼女?』
『ちが、俺が、』
『お前が一方的に好き?』
『今、は、ちが、う』
何素直に答えてんだ俺!?!?!?
画面の中の俺に突っ込みながら、俺は画面をハラハラと見守る。
『ふーん今彼女は?』
『いま、は、』
そんな会話がしているうちに、画面の中ではジャックがリリーの連絡先を左にスライドし、削除を押してしまう。
はぁ!?!?!?
慌てて充電したスマホの画面をつける。
立ち上がりにかかる時間にイライラしながらスマホを急かすように振る。
『住所教えて?』
『い、や』
『教えてくれたらこれ抜いてやるよ』
グリッと押し付けるようにジャックの腰が動く、これ、とはジャックの息子の事だろう。
まさか、いや、そんなわけ、
なんていう淡い期待は直ぐに消える。
『て、テキサス州、さん、あんとにお.....*********』
素直に吐くなよ俺!!!
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