哀れな人

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哀れな人

あの時見えた光は、 その晩、あっけなく消えてしまった。 愛しい人は、もういない。 「雨、やみましたよ」 「貴方には、もう見えないのですね」 貴方には、あの場で明るい未来など、見えていなかったのだろう。 「これは、とても残酷なことですね」 私は、馬鹿な人間だ。 浅はかなことの、何と罪深いことだろう。 私の顔には、虚無が浮かぶ。 「私にも、もう何も見えません」
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