分かち合いの細則

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エミとユミは1歳違いの仲良し姉妹。 ユミの大学受験も終わり、キャンパスライフを楽しんでいる。 エミはお話を創るのが上手。ユミは絵を描くのが得意で、 以前から一緒に絵本を創って楽しんでいた。 「見て、見て!こんなのがあるよ!」 ある日、エミがユミに見せたのは、投稿サイトの「ファンシー絵本大募集!」だった。 「わー!応募してみようよ!」 「うん。ダメモトだもんね!」 それから3か月ほどしたころ、突然「入選のお知らせ」がきた! 「ワーオ!賞金3万円だって!」 「ヒャーッ!バンザーイ!」 そしてめでたく賞金3万円也が届いた! 「さて、この賞金をどう分けるか、だわね」エミが言うと、 「え?私は半分ずつでもかまわないよ?」とユミが言う。 「なにを厚かましいことを!挿絵なんてお話のオマケみたいなものなんだから、1割ぐらいで十分じゃない」 「なーにをおっしゃるお姉さま!絵本よ、絵本!絵本ったら絵が主役に決まってるじゃない!文字なんかなくったってどってことないわよ~!」 「よく言うわ!最初に言葉ありき!まずお話がないことには何も生まれてこないのよ!」 「まあまあ、そんなことでケンカするんじゃないの!」と母。 「アンタ達、そのお金で前から欲しがってたバッグを買って交代で使ったら?」 「そうしよう!」 母の提案は戦い疲れた二人にも名案に思えた。 すぐさまネットを検索。欲しかったブランドバッグを手に入れることができた。 新品同様!ジャスト3万円!もちろんオークションで。 公平に使うためのカレンダーを作成し、汚したり傷付けたときの罰則など、細則を決めようとしていると、 「ちょっと出かけてきますよ~」と玄関から母の声 「ん?!」あの声の調子、なんか変!顔を見合わせた二人は玄関へ猛ダッシュ! 「ちょっと待って!」閉まりかけたドアを引き戻し 「やっぱり!」2人そろって叫ぶ! 「母さん!借りるときは私たちに借用料払って!」
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